国内美容医療市場でNo.1*のシェアを誇る「湘南美容クリニック」。その経営支援を担うSBCメディカルグループホールディングスが、米国ナスダック市場に上場を果たした。グループの拡大をリードし、企業価値を急成長させた相川佳之CEOに、今後の成長戦略について話を聞いた。
相川佳之(あいかわ・よしゆき)さん
■1970年生まれ。日本大学医学部卒業。麻酔科研修後、都内大手美容外科に勤務。2000年に神奈川県藤沢市に湘南美容外科クリニックを開院。日本美容外科学会理事、先進医療医師会参与など多数務める。
旧態依然の美容医療を
変革させるために開業
美容医療の「湘南美容クリニック」のフランチャイズ展開を軸に、事業規模を拡大してきたSBCメディカルグループホールディングスが、2024年9月、ナスダック市場に上場した。
米国市場を選択したのは、国内では医療グループの上場が認められていないこともあるが、今後、米国をはじめグローバルに事業を展開させることを視野に入れているからだ。
同社の歩みは、相川佳之CEOが2000年に神奈川県藤沢市で開業したクリニックからスタートする。今やすっかり身近な存在となった美容医療だが、「当時はまだ浸透しておらず、内緒で施術を受けるもの、というイメージでした」と相川さん。
「24年前は、美容医療の効果の有無がきちんと知られていなかった上に料金体系が不透明で、今では考えられないほど高額でした。それではごく一部の人しか利用できませんし、何よりお客さまが安心して施術を受けられません。美容院に通うような感覚で、気軽に美容医療を受けられるようにしたいと思ったことが、開業のきっかけです」
“美容医療をもっと身近に!”という合言葉の下、湘南美容クリニックは明朗会計を実現。また、今では当たり前になっている施術前後の実例写真を充実させるなど、顧客の不安を払拭する努力を徹底して行った。
「おかげで多くのお客さまに支持していただき、高い確率でリピーターになっていただくことができました。顧客数はこの24年間で一度も減ることなく、右肩上がりで増え続けています」
国内美容医療市場でトップシェア*を誇る同社。現在は、包括的なクリニックの運営システムを提供することで、フランチャイズをサポート。現場の医師のニーズに応えるため、知名度の高さを武器に優秀な人材を確保し、サービスの品質を維持するためのトレーニングプログラムも充実させている。結果、クリニック数が増えても高いリピート率を維持できているのだ。
次ページからは、美容医療にとどまらない相川CEOのM&A戦略に迫る。
*5クリニック以上を運営する中規模以上のクリニックグループにおける拠点数ベースのシェア推計。出所:矢野経済研究所(2024年版)