部下に面談で「特に話すことないです」と言われたら?~ヤフーの人材育成「1on1」の舞台裏(※写真はイメージです)

人事の領域で職場内コミュニケーションの手法として関心を集めつつある「ヤフーの1on1」ミーティング。1on1の場で、部下に「特に話すことはないです」と言われたらどうするか。上下間コミュニケーションにおいて、「最悪」なこの状況は、そもそも日ごろの関係性に起因する。といっても、仲が良い・悪いという「折り合い」が問題なのではない。日常的に相手に関心をもって接し、観察していれば、必ず話題は見つかる。それが対話の糸口となるはずだ。

1on1の効能も理解しているし
進め方の基本も研修で習った。でも……

 今回は、管理職の皆さんと話をしていて、「1on1」に関する相談数で1位、2位を争うテーマについてお話しします。

上司:「今日は、何か話したいことはありますか?」
部下:「特に何も話すことないです……」

 すでに1on1を実践している方なら、このセリフだけで場面を想像できるかもしれません。 いわば「1on1あるある」のひとつ。これは、1on1の冒頭で部下から出てくる典型的なセリフです。

 相談者たちによれば、「1on1の効能も理解しているつもりだし、進め方の基本も研修で習った。でも、肝心の1on1に入る手前で困っている」という訴えです。1on1は部下のためという前提に従い、上司はセオリーどおり「今日はどんなこと話したいですか」から始めようとするのですが、その時点でつまずいてしまうというわけです。

 なるほど、確かにこれは悩ましい。研修などで傾聴や質問の方法は学びますが、これらは話すテーマが決まったあとで、対話の中で使えるスキル。そもそも話をしたがらない相手について困っているケースです。