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ヤマダ電機が住宅業界に本格参入へ!
エス・バイ・エル子会社化で変わる“家電量販店”の姿

吉崎誠二 [ディー・サイン不動産研究所所長、不動産エコノミスト]
【第79回】 2011年8月22日
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 8月12日の報道を見て、業界関係者は“ついにその時が来たか”と思ったことだろう。

 家電量販店最大手のヤマダ電機が、中堅ハウスメーカー、エス・バイ・エルを連結子会社化するために、株式の公開買付け(TOB)と第三者割当増資を引き受けると発表したからだ。

ヤマダ電機の店舗にモデルハウス?
住宅展示場と比較にならない多大な販促効果

 連結子会社化は、各報道機関の記事をまとめると、以下のようにすすめられる。

1)TOB価格は1株当たり62円(発表時の株価は58円)
2)エス・バイ・エルの上場、自主的経営は維持される
3)ヤマダ電機から取締役を派遣
4)10月中旬にはTOBを完了させる

 また、家電量販店にモデルハウスを設置し、住宅はもちろん、太陽光発電、蓄電池、省エネ家電、電気自動車なども合わせて販売するそうだ。

 モデルハウスは家電量販店内に設置するのか、それとも駐車場などの隣接敷地なのかはわからないが、いずれにせよ、かなりインパクトのある光景が目に浮かぶ。住宅展示場の閑散とした光景とは異なり、多くの店舗が土日祝日は、多くの人でごった返している状況であるから、販促効果は絶大なものになるだろう。

 先日、ヤマダ電機の都市郊外にある大型店に行った。この報道を知った直後であったので、関連があるだろう売り場へ向かった。太陽光発電、省エネ家電などだ。いずれも、1コーナーの展示であまり大きな売り場ではなく、太陽光発電の売り場では、社外の専門スタッフが対応していた(この店だけかもしれないが、しかしこの店は旗艦店の1つだと思える)。他の数店を訪れても似たような状況だった。現在のヤマダ電機各店では、まだ住宅・エネルギーといった分野への踏み込みは少ないようだ。

 このような新しいエネルギーを取り入れた“スマートハウス”は数年前から話題となっており、認知はされているものの、あまり購買には至っていなかったのが実情だった。しかし、東日本大震災、そして福島第一原子力発電所の事故、節電といった事象を体験してから様相は変わった。多くの人がスマートハウス(あるいはその一部)の購入を真剣に考え始めている。今回のヤマダ電機によるエス・バイ・エル子会社化は、こうした状況を捉えての行動であろう。

エス・バイ・エルが
ヤマダ電機の子会社になることで得るメリット

 一方、ヤマダ電機の連結子会社になる(現時点では、かもしれない)、エス・バイ・エル。ヤマダ電機の意向が発表された同日、「今後の当社の更なる成長と企業価値の向上に資するものであるから、公開買い付けに賛同する」との見解を発表した。

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吉崎誠二 [ディー・サイン不動産研究所所長、不動産エコノミスト]


早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学博士前期課程修了。船井総合研究所上席コンサルタント・Real Estateビジネスチーム責任者を経て、現在、ディー・サイン不動産研究所所長に就任。不動産関連企業・ハウスメーカー・設備関連メーカーなどを中心にコンサルティングを行う傍ら、不動産エコノミストとしてデータ分析、一般・投資家・企業向けの講演を多数行う。著書に『2020年の住宅・不動産市場』(朝日新聞出版)『「消費マンション」を買う人 「資産マンション」を選べる人』(青春出版社)など9冊。連載はダイヤモンド・オンラインをはじめ、各種媒体に月間6本を担当。オフィシャルサイト&ブログ http://yoshizakiseiji.com/blog/

 


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