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「生き証人」が語る真実の記録と教訓~大震災で「生と死」を見つめて 吉田典史

「九段会館天井崩落事故」の責任はどこにあるのか?
遺族に「死にたい」とまで言わせる震災被害の迷宮

――九段会館天井崩落事故の遺族のケース

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第2回】 2011年8月30日
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天井崩落事故が起きた九段会館の外観。運営は日本遺族会。事故後は閉鎖されている。

 3月11日、都内では震度5強の大地震が発生した。その直後、宿泊・会議施設である九段会館(千代田区)の1階大ホールの天井が崩落して、2人が死亡、20人以上が重軽傷を負った。

 遺族らは、天井の崩落防止の義務を怠ったとして、業務上過失致死傷罪で、九段会館を運営する日本遺族会会長の古賀誠衆議院議員らを刑事告訴した。現在、警察が現場検証を行なうなどして捜査を進めている。その一方で、遺族らは民事訴訟も始める。

 九段会館は1934年に完成。その後、日本遺族会が運営していた。遺族会は新聞やテレビの取材に対し、「年に1度、建物を定期調査して結果を東京都に報告しており、建築基準法上などの問題は確認されていない」と回答をしている。

 また、遺族らには「被害に遭われた方々の救済に最大限の努力を傾注する」と答えている。遺族会として2人の遺族の自宅へ赴き、「謝罪」も行なっている。今後は九段会館を閉館して、国に建物を返還する方針であり、数十人いる職員も解雇すると報じられた。

 今後、九段会館の天井崩落の原因は、警察の捜査や法の場で明らかになっていくが、私が他のホールの実情や過去に起きた他の天井崩事故を調べると、今回は特に九段会館で事故が起きたホールの大きさや、天井の上やその付近に何が置いてあったのか、どのような造りであったのかなどが、1つの争点になるだろう。

 ホールの大きさは、天井の崩落防止義務と関わりがある。天井がどのような造りになっていたのかなどは、遺族が持つモルタルなどが、検証するための1つの材料になるのではないかと思える。

 新聞やテレビでは、遺族や九段会館側の声が5月以降、あまり伝えられていない。私は取材をして、真相を知りたいと考えた。遺族と並行し、九段会館側にもアプローチを試みたが、すでに閉鎖されているため叶わなかった。会館側の主張は、震災直後の3~4月に記者発表したものを前述のように掲載した。


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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


「生き証人」が語る真実の記録と教訓~大震災で「生と死」を見つめて 吉田典史

震災から5ヵ月以上が経った今、私たちはそろそろ震災がもたらした「生と死の現実」について、真正面から向き合ってみてもよいのではなかろうか。被災者、遺族、検死医、消防団員、教師、看護士――。ジャーナリストとして震災の「生き証人」たちを詳しく取材し続けた筆者が、様々な立場から語られた「真実」を基に、再び訪れるともわからない災害への教訓を綴る。

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