「時代によって、トピックのつながり方が変わる」
世の中の動きを棚に反映させることこそ醍醐味。

――ジャンル分けや本の並べ方は、独自に研究されているんですか? それとも、他のお店をたくさん見て研究されているんですか?

安齋 両方です。あと重要なのは、「いま世間的にはどういうふうなテーマが求められているのか」をチェックしたり、「前はこことここのトピックがつながって語られていたけど、今度はこっちのトピックと連動して語られている」と思ったらそのへんを変えていったりすることです。

――ということは、世の中の変化を感じ取って、棚も変化させている、ということですか?

安齋 自分の中で「これって今はもうここじゃないよね」という気分が強くなってくると、変化させたりしますね。

――そのトピックのつながり方が変わってきたな、というのは日々情報収集をしていて感じるんですか?

安齋 情報収集というほどでもないですけど、やはりお客さまのお問い合わせの傾向や、何かで記事になっているのを見かけたときに、どういう文脈で語られているのかをチェックしています。

 法律のジャンルでは、法律が変わるときに新刊がたくさん出るのですが、こういうときは、タイミングによってどこに置くのがいいのかを意識しています。たとえば証券取引法が金商法(金融商品取引法)に変わったときだと、最初は金融関係の方が見に来ることが多いだろうから、法律の棚だけじゃなくて金融の棚にもあったほうがいいと思って展開します。けれど、だんだんひとつの法律として収まってきたと感じたら、実務書以外は基本的に法律の棚だけにしよう、と動かしていきます。

 もちろん、一つひとつの本がどういったターゲットを狙っているかにもよって置く場所は違ってくるのは大前提ですけどね。

「図書館みたいな本屋さん」と言われがちなジュンク堂さんですが、改めてお話を伺ってみると全然違うことがわかりました。特に、「時代の流れを棚に反映させる」という意識の高さに感動しました。明日公開の次回は、その「棚」への想いに焦点を当ててお聞きします。お楽しみに!