魅力度全国ワースト1なのに茨城県に観光客が殺到する理由

県外から観光客が押し寄せる
大人気の納豆工場見学

「似たような場所にあるせいか、茨城と栃木をよく混同してしまう」「茨城の有名な観光スポットって、すぐに思い出せないな」

 世間にこうした声は少なくない。そう、茨城県のイメージは圧倒的に「薄い」のである。それはデータを見ても明らかだ。全国3万人の消費者が各地域のブランド力を評価した「47都道府県魅力度ランキング」(ブランド総合研究所が発表)によると、茨城県は2013年から16年までの4年連続でワースト1位に甘んじている。なんとも不名誉な結果ではないか。

 だが、そんな茨城県の魅力が見直されつつあることをご存じだろうか。実は今、観光客が殺到している場所がある。それは名所旧跡でもテーマパークでもない。彼らはいったい、どこへ向かっているのか。

 パックに納豆が次々と詰め込まれていく様子に、歓声がもれる――。

 ここは、おかめ納豆でおなじみの納豆業界最大手、タカノフーズの水戸工場だ。同社が生産する納豆の約半数(1日あたり200万パック)を製造している。この日は夏休みの真っ最中とあって小学生の家族連れを中心に30人が工場見学(午前の部)に参加した。

 案内役で同社の営業推進部門リーダーを務める溝渕哲也さんが「タレとカラシを入れて容器のふたを閉めたあとで、発酵の工程に進みます」「納豆菌はお腹の中で4日間生き続けます」などと豆知識やクイズを交えながら解説すると、大人からも「へぇ~」という声が上がった。

 白い作業服を着た作業員がガラスの向こうでパックの中の温度を測ったり、発酵の具合を確かめたりする様子に、子どもたちもじっと目を凝らす。製造過程を見て回る40分ほどのツアーの後は、試食タイムがあり、ひたすら「納豆」を知るためのレジャースポットになっている。納豆やお豆腐などをお土産に買って帰る人も多かった。