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「引きこもり」するオトナたち

引きこもりが極限のサバイバル生活で大活躍!
津波で4日間孤立したクリニックで起きた奇跡

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第81回】

 東日本大震災後、ヒタヒタと押し寄せる津波の中、引きこもりなどの外来利用者や近隣住民が逃げ遅れて取り残され、4日間にわたって孤立していた精神科クリニックがある。非常事態に陥っていたと言えるが、実はこの間、引きこもり当事者たちがスタッフを手伝って、近隣住民の面倒を見ていたという。今回は、この興味深い話を紹介したい。

グループ活動で人との関わり方を学ぶ
「デイケア」を行う石巻市の精神科クリニック

 宮城県石巻市中里にある「宮城クリニック」(宮城秀晃院長)は、3月11日、近くの貞山運河から溢れ出た泥水によって、建物1階の半分くらいまで浸水した。

 宮城院長は石巻市で、自閉症、注意欠陥多動症、脳性マヒ、てんかんなどの症状を抱えた人たちのために就学指導員を長年務めてきた。2010年9月には、NPO法人「障碍児と共に歩む会」の理事長として、「障がい者雇用促進に関する要望書」を亀山紘市長に提出している。

 同クリニックでも、「人とうまく付き合えない」「どこといって、行くところがない」「時々、あるいは、いつも不安でつらい」「緊張する」「イライラする」「仕事をしてもうまく続かない」――といった悩みを抱えた人たちを対象に、グループ活動での体験を通して、生活のリズムを整え、人との関わり方を学ぶ「デイケア」を月曜から金曜日までの5日間、開いている。

 利用者の年齢は、20歳前後から40歳代くらいまで。とくに制限はないが、就労を求めていることが基準になる。

 実際、社会人経験はあるけれど、転職を繰り返して挫折した人や、不登校からずっと引きこもり続けている人、自殺未遂、暴力事件を起こした人もいる。

 「デイケアは居場所ではないので、できるだけ早く卒業してもらい、自立支援、就労支援の作業所や、職親を通じて、仕事に就いてもらうことを目的にしています」(宮城院長)

 一方、2ヵ月に1回、家族会も開催。皆が参加するバーベキューや、忘年会、当事者、家族会、スタッフ合同の温泉旅行まで行っていて、メニューは盛りだくさんだ。

 デイケアは、6ヵ月ごとに親を交えた話し合いで、参加するかしないかを決め、自立支援のために診断名を付ける場合もあるという。

 「利用者の住まいは大半が石巻市内。週に1回くらいしか来られないと、デイケアとしての効率や効果が曖昧になってしまう。定期的に毎週4~5日くらい、通ってもらっています」(宮城院長)

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

「「引きこもり」するオトナたち」

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