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止まらぬ金価格の上昇を不審に感じる人が急増中
一般論では説明できない「金と通貨の恐ろしい事情」

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第194回】 2011年9月27日
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なぜ金の価格がこれほど上がるのか?
説明のために筆者が用意した「2つの回答」

 「何故、金の価格がこれほど上がっているのですか?」

 最近、金価格上昇について尋ねられることが多い。そのときのために答えを2つ用意している。

 1つは、あまりショックに強くない、つまり穏当な説明を期待する人への答えだ。「経済の先行きが不透明なので、投資資金が他に行くところがなくて金に回っているのでしょう」という説明である。

 それは、今起こっていることの一端を言い当てているはずだ。しかも、説明を聞く人にとって、それほど刺激的ではないだろう。

 もう1つの答えは、「金価格の上昇は、裏を返せば通貨、特に基軸通貨であるドルの価値が下落しているということ」という説明である。

 そう答えると、多くのケースで、「まだドルの価値は下がるのだろうか?」という質問が来る。それに対しては、「米国の経済状況次第ですが、個人的には、まだ下がる可能性は高いと思う」と答えることにしている。

 もともと金に対する人々の憧憬=憧れの感情は強い。そのため、金に対する需要は安定している。需要が安定しているから、その価値が変わりにくいのである。

 かつて通貨は、その金の価値の安定性に助けられていた時期がある。金本位制の時代だ。通貨自体を金で鋳造したり、通貨と金との交換を保証したりすることで、通貨の価値を一定に保つ仕組みだ。

 ところが、金の産出量は限られているため、経済の規模が拡大すると通貨の増発に制約がかかることになった。つまり金の供給が、経済の拡大のペースに合わなくなってしまったのである。それは、経済の成長を制約することにもなりかねない。

 1971年8月、いわゆるニクソンショックによって、米国のドルが金との交換を停止して以来、基本的に全ての通貨は金とのつながりを解消したことになる。逆に言えば、それぞれの国の通貨はドルとの交換比率を表示することで、その価値を表現することになった。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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