インターネットサービスは、もはや消費者にとってコミュニケーション活動における「インフラ」である。私たちがいつでもどこでも、自由にウェブサイトにアクセスし、判断し、行動するために欠かせない手段といっていい。
企業にとっても、ウェブサイトを活用し、各種のマーケティングによって、自社の商品・サービスを訴求することで、消費者とのコミュニケーションを効果的に図ることができる。
ところが、こうしたデジタルマーケティングは、投資対効果が測りにくく、企業にとってどのような効果をもたらしているのかを具体的に示す指標は多くない。
そこで、トライベック・ブランド戦略研究所のウェブサイト価値を可視化する評価システム「ウェブエクイティ」を利用し、企業がウェブサイトで行ったデジタルマーケティングの価値を測定。活動価値を「ウェブサイト価値」として金額に換算しランキングした。
対象となったのは、国内の有力企業・ブランドの242サイトで、総合ランキングトップは、5年連続で全日本空輸(ANA)になった。ウェブサイト価値は、前年の734億円を大幅に上回る1009億円と、ついに1000億円の大台を突破したのである。
ここで、「ウェブサイト価値」について触れておこう。これは、「売上価値」と「情報価値」から成るものであり、それぞれの価値を合算したものだ。
「売上価値」とは、企業ウェブサイトの推定利用者数および企業ウェブサイト利用者に占める商品購入者の割合から、実際の売上高への貢献度を推定したものだ。
「情報価値」は、簡単に言えば企業や商品のブランド力への貢献度を測る指標で、「閲覧価値」と「行動価値」とに分けられる。前者は、ユーザーの閲覧ページの内容および閲覧数から導くもので、後者は、例えばウェブ会員登録や資料請求など企業のビジネスにつながる消費者の行動から算定したものである(「算出方法」参照)。
ANAは「ウェブサイト価値」の85%を「売上価値」が占める。ウェブサイトの改善を繰り返した結果、サイト経由で航空券を購入する消費者が定着しており、年々、その貢献度が上がっている。
特に注目すべきは「情報価値」が向上していることだ。ANAが重要視しているのは「数多くある航空会社からANAを選んでもらう」こと、つまりブランディングである。ただの「航空券購入サイト」にとどまらず、ブランディングや顧客ロイヤルティー(帰属意識)の強化を目的とした取り組みが価値の向上につながった。