パリの人々に聞いた
日本の印象と、その由来

 原発大国フランスにやって来た。フランスは、国のエネルギーの約80パーセントを原子力発電に依存し、周辺諸国への輸出も行っている。原発技術を含め、外貨を稼ぐ優秀な基幹産業のひとつになっている。

 そのフランスで、原発事故を起こした日本はどのようにみられているのか。パリの病院を訪れたついでに印象を聞いてみた。

「今年の日本は大変だね。地震と台風が二つも同時にやってきて――」

 原発事故について微妙に回答を避けたのは、パリのホテルスタッフのひとりだ。彼は、ホテルマン特有の丁寧な物腰で、困った表情を浮かべ、日本に対する哀悼の意を伝えた。

 さらに質問を重ねる。すると「事故の対応に失敗したんだってね」という答えが返ってきた。ソースを尋ねると「新聞」だという。

 もうひとり、病院のスタッフにメールで印象を尋ねた。

「政府と電力会社が情報を隠しているんでしょ。ひどい話ね」

 これまた正しい回答だ。彼女の回答も同じくフランスのメディアが情報源だという。

 今月9月、フランスは核関連施設で事故を起こした。

〈フランス南部のマルクール原子力施設にある低レベル放射性廃棄物処理・調整センターで12日午前11時45分(日本時間午後6時45分)ごろ、爆発があり、1人が死亡、4人が負傷した。仏原子力安全機関(ASN)は原因を調べる一方で、放射能漏れはないとして同日午後に収束を宣言した。