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金融市場異論百出

FRBのインフレ誘導策傾注に
ボルカー元議長が噛みつく理由

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2011年10月5日
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 「バーナンキは歴史において、最もインフレ的で、最も危険で、最も権力集中型のFRB議長だ」(ギングリッジ元下院議長)、「バーナンキはドルに過剰なインフレを起こしてきた」(ロムニー前マサチューセッツ州知事)、「これ以上マネーを刷るなら、国賊だ。この男がテキサスに来たら、かなり酷い目に遭わせてやる」(ペリー・テキサス州知事)。

 共和党の主要な大統領選候補者は、いずれもバーナンキFRB議長を激しく批判している。彼らは、デフレ回避を最優先にしてきたバーナンキのスタンスに共鳴していない。9月21日にFRBが単純な国債大規模購入策(いわゆる“QE3”)ではなく、「オペレーションツイスト」を採用した理由の一つに、こうした批判の存在が挙げられる。

 この政策は、FRBが市場から長期国債を4000億ドル買い取ると同時に、FRBが保有する短期国債を同額、市場に売却し、長期金利の引き下げを狙うというものだ。FRBのバランスシートは膨張しないため、“QE3”とは異なる、と説明することができる。

 もっとも、オペレーションツイストは1960年代にFRBが1度実施したことがあるが、FRB内では長期金利を低下させた効果は小さかったと長く見なされていた。また、すでに低水準の長期金利をさらに低下させることができたとしても、バランスシート調整を抱える米経済への刺激効果は限られそうだ。一方で、金利曲線が平坦化すると銀行の収益が損なわれ、米銀が中小企業への貸出リスクを取りにくくなる恐れもある。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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