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東京23区「安心・安全な街」~あなたが住む地域の真のリスクと防災力

新宿区――「リスクのるつぼ」の再生を促すクリーン作戦の大きなうねり

池田利道 [一般社団法人東京23区研究所 所長],小口達也 [一般社団法人東京23区研究所 上席研究員],一般社団法人東京23区研究所
【第11回】 2011年10月5日
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 昭和の始め、歌舞伎町は閑静な住宅地だった。第二次大戦後、地元の有力者だった鈴木喜兵衛は、焼け野原となったこの街に一大アミューズメントタウンの建設を夢見る。コンセプトは、「家族で楽しめる健全な娯楽文化の提供」。構想の目玉とされた歌舞伎上演劇場の誘致にちなみ、街の名も「歌舞伎町」と改めた。

 しかし、戦後の混乱の中で事業は頓挫する。代わって歌舞伎町に流れ込んできたのが、ヤミ市や特飲街(いわゆる赤線)を締め出された飲食店、風俗店だった。その後は、風俗産業の自己肥大へと突き進む。ひとたび理念が崩れた後は、とんでもない方向に暴走してしまったのだ。

理念が崩れて暴走する歌舞伎町
悪質犯罪の多発にくれぐれもご用心

 新宿区の安心・安全と言えば、まず犯罪に触れねばなるまい。犯罪発生数(刑法犯認知件数)3位。この数字以上に注意しなければならないのが、その中身だ。凶悪犯の発生数1位、粗暴犯も知能犯も風俗犯も1位。しかも、そのいずれもが2位以下を大きく引き離している。

 自転車泥棒が大部分を占める乗物盗を除いた狭義の非侵入窃盗(ひったくり、スリ、万引きなど)の発生数も、新宿区が一番多い。暴力団犯罪の検挙・送致件数も1位。暴力団による覚醒剤犯罪の検挙数は、23区の6分の1を占める。悪質犯罪の多発地と言わざるを得ないデータの数々である。

 面積当たりの交通事故発生件数は4位と、交通事故のリスクも高い。火事も多い。面積当たりの火災発生件数は2位、建物火災に限ると1位となる。不燃化率6位の新宿区だが、区の東部を中心に、木造住宅密集地や細街路が入り組んだ火災危険エリアが存在する。

 繁華街では、雑居ビル火災にも注意が必要だ。2001年9月、44名の尊い命を奪った歌舞伎町雑居ビル火災の惨事は、いまだ記憶に新しい。

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池田利道 [一般社団法人東京23区研究所 所長]

一般社団法人東京23区研究所所長。東京大学都市工学科大学院修士修了。(財)東京都政調査会で東京の都市計画に携わった後、㈱マイカル総合研究所主席研究員として商業主導型まちづくりの企画・事業化に従事。その後、まちづくりコンサルタント会社の主宰を経て現職。

小口達也 [一般社団法人東京23区研究所 上席研究員]

一般社団法人東京23区研究所上席研究員。1978年より財団法人・東京都政調査会研究員、都市問題・自治体政策の研究に従事。87年より中央大学社会科学研究所・客員研究員、多摩地区の地域開発研究に従事。その後、フリーを経て現職。

一般社団法人東京23区研究所

東京23区をさまざまな角度から調査・分析している。マーケティングレポートなどを発行。HPはこちら


東京23区「安心・安全な街」~あなたが住む地域の真のリスクと防災力

東日本大震災を機に、自分が住む地域の安全性を気にする人が急増している。世間一般に「安全」と言われている街でも、そうとは限らない場合があるし、「リスクが高い」と言われていても、本当は災害への耐久力が強い街もある。実際のところ、あなたが住む街の安心・安全度はどうなっているのか。この連載では、地震、犯罪、火事、交通事故といった現代社会の4大災難を中心に、東京23区の「防災力」をあらゆる角度から分析する。豊富なデータを基に、「安心・安全な街」の条件を考えてみよう。

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