
なぜ若い女性はパパ活、風俗、立ちんぼで稼いでまで、ホストクラブで大金を使うのか。ホストが客と築く特殊な関係性の秘密とは――。Z世代ライターが、愛憎渦巻く夜の世界の「搾取と依存の構造」を解き明かす。※本稿は、佐々木チワワ『歌舞伎町に沼る若者たち 搾取と依存の構造』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。
ホストが客に行う
さまざまな営業方法
ホストが客に対して行なう接客および営業には、それぞれ名前がつけられている。
酒を大量に飲む「飲み営業」、わざと男らしい横柄な態度で女性に接する「オラオラ営業」、客に好意があるように振る舞う「色恋営業」から、彼女として付き合いながら店に呼ぶ「本カノ営業」。
近年では、店の外での時間外労働を極力削り、SNSでの発信やブランディングによって付加価値を上げ、店内での接客に絞る「アイドル営業」という手法もある。
「ホストは接客で楽しませるのがプロ」という風潮は昔から存在する。
店舗という限定された労働空間だけでの接客はホストの精神的負担が少ないが、一方で「オフタイム」の共有がないため、特別感や素顔感を客に感じさせることが難しい。
店内ではキラキラした姿を見せ、2人きりで昼間に会うときはヘアメイクをしていないナチュラルな状態で会うことで日常感を演出するホストもいる。
あるいは、客の前ではつねにスーツ、ビシッとしたヘアメイクで「ホスト」としての自分を魅せる者もいる。
客の好みに合わせながら、自分が得意なやり方で客との関係を演出し、感情を誘惑すべく労働するのだ。