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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

グローバル金利は未体験ゾーンに突入
下期の債券運用は「キャリー」が王座に就くか?
――高田創・みずほ総合研究所チーフエコノミスト

高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト]
【第40回】 2011年10月5日
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約60年ぶりの金利水準は
「未体験ゾーン」に突入

 9月後半、米国の10年金利は1.8%台の水準に低下した。この水準は大恐慌の後の状況を引きずった1950年前後の水準、つまり約60年ぶりの水準だ。

 金融の市場化がいち早く進んだ米国には金融市場に習熟した市場参加者が多いが、そうした豊富な市場経験を持った人たちでも、今日、現役世代で足もとの水準を体験した者はほとんどいない。まさに、「未体験のゾーン」に突入したと言える。すなわち、過去の自らの経験が及ばない環境になったと考えることができる。

 一方、我々日本の債券市場に従事する参加者は、1990年台後半からすでに10年以上も「古今東西」前人未踏の未体験ゾーンを体験してきた。

 以上の米国での債券市場とそれを取り巻く市場参加者の状況も、本論で前回話題にした「Japanisation」(日本化現象)の一種と考えることもできるだろう。日本の市場関係者や政策担当者は、まさに未知のゾーンをこの10年以上生き抜いてきたのである。

 日本銀行が行なった量的緩和も時間軸政策も、実務上は日本が初めて導入したものだった。とかく、日本の金融関係者は金融の習熟度(financial literacy)に劣るとの表現をされることがあるが、日本の金融関係者はこうした未体験ゾーンでの金融の習熟度に関して、もっと自信をもってもいいのではないか。

従来の投資の常識では
判断できない世界

 金融も含めた経済学は、過去の経済事象を抽出し、理論化することで成立してきた。なかでも今日、我々が教科書とするような投資理論は、金融の市場化と信用拡張が急速に進んだ1970年代以降に成立したものであり、その歴史はせいぜい40~50年に過ぎない。

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高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト]

しまもと・こうじ/1990年、東京大学卒業、日本興業銀行入社。調査部門で金利分析や経済予測を担当。2000年からBNPパリバ証券で投資調査本部長兼チーフストラテジストとして金融市場予測を担う。日本経済新聞社の債券アナリスト・エコノミスト人気調査の債券部門では06、08年に1位。金融庁の金融市場戦略チームや金融税制研究会、行政刷新会議の事業仕分けなどに参加。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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