資生堂の研究員、社員が、異分野の企業やクリエイターと共同で制作したアート作品を展示する企画展『LINK OF LIFE』が10月26日、東京・銀座の「資生堂ギャラリー」で始まった。

 2015年に、企業の壁を取り払って異業種の研究者同士が交流する、いわゆる「オープンラボ」に近い形で、スタートを切ったこの企画展。当初から注目を集めるイベントとなっている。

 「異なる文化や視点を持つ外部の人とコミュニケーションすることで五感に刺激を受け、生まれたインスピレーションを基に新たな価値を創造する」(益井澄子・資生堂 企業文化部 LINK OF LIFE チーフプロデューサー)。資生堂が『LINK OF LIFE』を始めた狙いは、そこにある。

益井澄子・資生堂 企業文化部 LINK OF LIFE チーフプロデューサー

 モノがあふれ、あり余る選択肢がある現代、マーケティング能力の強化は、資生堂にとっても企業経営の重要課題である。

 資生堂は中長期戦略「VISION2020」の最終年である2020年に、売上高1兆円超、営業利益1000億円超を達成する目標を持つ。その大きな柱となるのが、ブランド価値の向上である。「日本発のグローバル・ビューティ・カンパニー」を掲げる資生堂が世界で戦うとき、競争力の源泉となるのは「日本人ならではの感性」(益井チーフプロデューサー)だろう。

 「非日常的なアート作品の制作は、感性を刺激する厳しい他流試合」(益井チーフプロデューサー)でもある。社員全員が感性を磨き続ける企業文化は、グローバルでの競争力を高めることにもつながる。

 資生堂の事業ドメインの中心は化粧品だけではない「美」。テクノロジーだけ、あるいは化粧品だけにとらわれない『LINK OF LIFE』の活動は、研究、商品開発、マーケティング、営業などすべての社員が、美に対する「日本人ならではの感性」を磨く場、すなわちマーケティング能力をより強くする場として、大きな意味を持つことになる。