ファッションのクラシック回帰への潮流が勢いを増し、ビジネスカジュアルは影を潜め、タイを結んだベーシックなスーツスタイルが見直されている。では、ベーシックとは?ビジネスエリートのたしなみとしてあらためて心得ておきたいスーツの選び方とその着こなしを、『男のお洒落道 虎の巻』を著したファッションディレクター青柳光則氏に指南していただいた。

派手さで悪目立ちするのではなく、
上質で洗練されたスタイルを目指そう

 ベーシックな装いが見直されている今季のファッション特集は、ビジネスマンの日常着であるスーツの基本的かつ本質的な選び方を青柳光則氏に伺った。

「男服のクラシックかつベーシックな装いは英国流の着こなしが基本。それにならうと昼間のビジネスシーンではグレースーツがスタンダード。時にはネイビーもいいが黒は避けたいスーツの色です」

 素材はどんなものを選ぶべきなのだろう? 青柳氏は「季節を問わず梳毛素材のスーツを着ている人はエレガントに映りますが、スーツを男の日常着として考えると季節感ある素材選びが最も大切。秋冬シーズンならば和やかな雰囲気を醸し出せるフラノなど起毛感ある素材のスーツが良いでしょう」と促す。

【Color】迷ったらグレースーツを吟味しよう

略礼装色とされるグレーはどんなライフシーンにも対応できる心強いカラーだ。クラシックなデザインにモダンな感性が息づく、正統派の魅力を備えたグレースーツを手に入れたい。

あらゆるビジネスシーンに対応するミディアムグレーのスーツを着こなす
ミディアムグレー地にオルタネートストライプが描かれた生地は仏ドーメル社のアマデウス365。上品な光沢感ある落ち着いたミディアムグレーがエリートにふさわしい品格を感じさせる。フルキャンバス仕立てだが最軽量の毛芯と日本人の体形を熟知したパターンで着心地は軽やかな、バーニーズ ニューヨークのオリジナル「マディソンゴールドレーベル」のスーツ。ライトブルーのシャツを選んで洗練された印象で着こなしたい。スーツ20万5200円、シャツ2万520円、タイ1万2960円〈全てバーニーズ ニューヨーク/バーニーズ ニューヨーク カスタマーセンター 0120‐137‐007〉 眼鏡3万4560円〈ジョルジオ アルマーニ/ミラリ ジャパン 03‐3514‐2950〉 靴7万1280円〈三陽山長/三陽山長 銀座店 03‐3563‐7841〉

 柄選びについても「さりげない柄行き、一見無地に見えるシャドーチェックやピンストライプがお薦め。控えめながら柄を織りで表現した凝った素材も上質感が薫ります」と説く。「奇をてらった格好や着飾ったスタイルで目立つのではなく、上質さを第一に統一感と抑制を効かせた着こなしがエリートにふさわしい品格を演出します。誰からも信頼される誠実さある装いが大切です」。これがベーシックなスタイルを支持する青柳氏のお洒落道なのだ。

 着こなし方はそれぞれの写真の解説を参考にしていただきたいが、まずは上質な定番アイテムを選ぶことがポイント。そこから洗練されたエリート像が生まれる。

 

【Fabric】わずかな起毛感が知性を演出する

季節に合った素材のスーツを選ぶことは着心地だけでなく、見た目にも大切なたしなみだ。秋冬シーズンは、スポーティーとは一線を画した上質な微起毛素材で選べばスーツが仕事着以上の知性を備えてくれる。

温かみある起毛素材でビジネスシーンに季節感を
ネイビーのスーツはよく見るとバーズアイの織り柄、ミルド感とメランジ感を共に備えた温かみのある起毛素材で、水をはじきやすい機能性も持ち合わせている。自然なショルダーラインを基調としたベーシックなフォルムは着心地も軽く、秋冬の基軸となる一着。サックスブルーのシャツ、ネイビーの時計など、異なる素材を重ねたブルーのグラデーションで知的に装いたい。スーツ14万400円、シャツ2万4840円、タイ1万5120円〈全てマッキントッシュ ロンドン/SANYO SHOKAIカスタマーサポート 0120‐340‐460〉 時計36万6120円〈モンブラン/モンブラン コンタクトセンター 0120‐39‐4810〉