中国のトップ女優の1人、徐静蕾が主演・監督した映画「杜拉拉の昇進記」が昨年中国でヒットした。主人公ララ(拉拉)が北京の華やかな外資系大企業で、異例の昇進を果たしていくという話だ。中国の地方には、大都市の大企業に勤務するビジネスウーマンに強く憧れる女性が多くいる。そういう層をターゲットにした映画なのだ。宣伝コピーは「都市のホワイトカラーの教科書、完全なる職場のバイブル」。ちょっと大げさだが、現代中国のビジネス社会の世相がわかる映画である。
主人公がこの会社に27歳で転職してきたとき(2006年頃)、月給は3000元から始まった(最近のレートで3.6万円)。入社日に先輩にこう言われる。「この会社ではマネジャー未満は小さなイモよ。月収4000元以下。つまり貧乏ってこと」。一般的にはその給料は悪くない。この説明は同社の給与水準のよさを示唆している。「マネジャーは中産階級。クルマも持っている。年収は20万元(240万円)超。役員はまさに上流階級ね」。共産主義国家では人民は皆平等だったはずだが……。
社長や人事担当役員は外国人(米国人っぽい)だが、彼らの中国語は流暢である。中国人社員は海外留学組が多いらしく、社内では中国語と英語が入り乱れる。ララの恋愛相手となるやり手の若い営業部長の親は米国暮らしだ。そのぐらい国際化している家庭がカッコいいらしい。リスクに果敢に挑む姿勢が認められ、ララの月給は入社2年後で6000元、3年後(09年)の30歳で1.2万元(14.4万円)と急上昇する。ただし、貯金は増えそうにない。