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東京23区「安心・安全な街」~あなたが住む地域の真のリスクと防災力

台東区――「火事の本場」は、町火消の心意気を今も受け継ぐ防災コミュニティ

池田利道 [一般社団法人東京23区研究所 所長],小口達也 [一般社団法人東京23区研究所 上席研究員],一般社団法人東京23区研究所
【第12回】 2011年10月12日
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 「火事と喧嘩は江戸の華」。実は、華に例えられたのは火事ではなく火消。もっと正確にいうと「町火消」である。

 江戸の消防組織のうち、「大名火消」の主役は大名に雇われた足軽や中間(ちゅうげん)。幕府直轄の「定火消」は、臥煙(がえん)と呼ばれるプロの職業集団だ。

 これらに対して「町火消」は、町人が無報酬で命を張った。町火消のボランティア精神を今に受け継ぐのが消防団だ。構成員は普通の市民。商店主もいれば、サラリーマンもいる。最近は、女性の参加も増えている。

火事と喧嘩は江戸の華――。
江戸の防災体制を受け継ぐ消防団

 消防団は、自治体の条例に基づいて設置される。たとえば、大阪市には消防団がない。だが東京では、地域防災の担い手として、なくてはならない存在だ。

 面積1km2当たりの消防団員数は、23区の平均が25人。台東区はその2倍以上の55人となる。消防団員が、どの区よりも高密度に街を見守っている。ちなみに台東区は、面積当たりの消火栓数も1位、防火水槽の数は3位だ。消防ネットワークの整備水準が高い。

 その裏には、出火リスクの高さがある。建物密度1位、平均敷地面積23位、ネットの建ぺい率2位という土地柄ならではだ。小さな建物が建て込んだ様子が、データから伝わってくる。その一方で、不燃化率8位、道路率2位、平均道路幅員5位と、延焼遮断の都市構造は評価が高い。

 また、面積当たりの火災発生件数1位、同建物火災発生件数2位に対して、1火災当たりの焼損棟数14位、火災100件当たりの死傷者数19位。これらの数値に、出火のリスクは高いものの、延焼には比較的強い台東区の特徴がよく表われている。

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池田利道 [一般社団法人東京23区研究所 所長]

一般社団法人東京23区研究所所長。東京大学都市工学科大学院修士修了。(財)東京都政調査会で東京の都市計画に携わった後、㈱マイカル総合研究所主席研究員として商業主導型まちづくりの企画・事業化に従事。その後、まちづくりコンサルタント会社の主宰を経て現職。

小口達也 [一般社団法人東京23区研究所 上席研究員]

一般社団法人東京23区研究所上席研究員。1978年より財団法人・東京都政調査会研究員、都市問題・自治体政策の研究に従事。87年より中央大学社会科学研究所・客員研究員、多摩地区の地域開発研究に従事。その後、フリーを経て現職。

一般社団法人東京23区研究所

東京23区をさまざまな角度から調査・分析している。マーケティングレポートなどを発行。HPはこちら


東京23区「安心・安全な街」~あなたが住む地域の真のリスクと防災力

東日本大震災を機に、自分が住む地域の安全性を気にする人が急増している。世間一般に「安全」と言われている街でも、そうとは限らない場合があるし、「リスクが高い」と言われていても、本当は災害への耐久力が強い街もある。実際のところ、あなたが住む街の安心・安全度はどうなっているのか。この連載では、地震、犯罪、火事、交通事故といった現代社会の4大災難を中心に、東京23区の「防災力」をあらゆる角度から分析する。豊富なデータを基に、「安心・安全な街」の条件を考えてみよう。

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