実体経済(1)
「大きなV」は終了、2012年1~3月期
に向けて「小さなV」へ

 日本経済は3月の大震災以降、想定以上のスピードで回復してきた。主たる原動力として、民間企業によるサプライチェーンの復旧(=設備投資)と在庫復元(=在庫投資)が挙げられる。

 その結果、震災後から7~9月期にかけての景気はきれいな「大きなV」を描いた。実質GDP成長率(前期比年率)で見ると、日本経済は2011年1~3月期-3.7%、4~6月期-2.1%と大きく落ち込んだ後、7~9月期は+4.6%(当社予想:11月14日内閣府より公表)と大きく反発したと見込まれる。

 しかし、そうした「大きなV」の局面は9月までには終わったようだ。これから1~3月期にかけて日本経済は「小さなV」に向かうであろう。民間主導の復旧が一巡する一方、政府主導の復旧・復興には時期尚早であるため、景気はいったん、復旧需要の「空白期」に入る。これが「小さなV」を形成する。

 実質GDP成長率で見た場合、7~9月期+4.6%となった後、10~12月期+1.6%、2012年1~3月期+2.3%(いずれも当社予想)と窪みを描くこととなろう。

実体経済(2)
2012年4~6月期以降、
日本固有の「再加速」へ

 ただし、この「小さなV」は景気後退に向けた序曲にはならない。むしろ、2012年4~6月期以降、景気は「再加速」に移ろう。しかも、この「再加速」は相当程度、日本固有のサイクルとなりそうだ。主因は、財政政策のサイクルが日本と他国で異なることにある。復旧・復興対策がその背景にあることは、言うまでもない。