この20年で時代は大きく変わったが、今後20年の変化は、その比ではない。思いもよらない変化が次々と起きるこれからの社会では、「たくましさ」、「地頭のよさ」、「社交性」が常に求められるのだ。「世界標準の子育て」では、4000名のグローバル人材を輩出してきた著者が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を紹介していく。
子どもの将来は、「自信」の有無で9割決まる
これらは、子どもを持つ多くの親御さんが願っていることでしょう。
・「社会で活躍できる人になってほしい」
・「周囲の人に愛されるようになってほしい」
・「どんな挫折にも負けず、たくましく生きてほしい」
私は、アメリカと上海で学校を経営しているのですが、どの親御さんも、「子どもの将来のために今何ができるか」を悩んでおられます。
特に、メンタル面の強さや、地頭力などの能力的な資質、周囲とうまくやっていくためのコミュニケーション力……。
人間としての総合力をどう高めていくか、悩みは尽きません。いったい、何が差を生むのでしょうか?これまで4000人以上のアジア人を見てきましたが、端的にいって、答えは一つです。
もっとも大きな要素は、子どもの「自信」の有無です。
自信があるかないか。このたった一つの要素によって、子どもの学力、コミュニケーション能力、メンタルタフネス、その他の特技などの伸び代が大きく変わってきます。
困難に負けないチャレンジ精神、挫折を乗り越える気持ちの強さ、円滑なチームプレイを可能にさせる社交性、より難易度の高い技術や知識の習得、自分の頭で考える力などなど、あらゆる要素を支えるのが子どもの自信です。
子育ての90%は、「自信育て」に左右されるといっても過言ではありません。
2種類の自信、「根拠のない自信」「根拠のある自信」
では、具体的に自信を育てるとはどういうことなのでしょうか。
そもそも自信とは、2つに分けられます。
一つが、「根拠のない自信」。
もう一つが、「根拠のある自信」です。
「根拠のない自信」とは「自分は親に愛されている」「自分は親から受け入れられている」「親から大切にされている」という自信であり、「自分は価値がある人間だ」と子どもが自分の存在を心から信じている状態です。
この「根拠のない自信」は「100%親から与えられるもの」です。子どもがいくら努力しても手に入れることはできません。子ども時代に親からかわいがられ、大切にされ、愛情をたっぷりもらうことでのみ得られる自信なのです。「根拠のない自信」はすべての土台になります。ここが大きく安定していれば、その上に積み上げていく勉強、習い事、人付き合い、あらゆることがうまくいくようになります。
反対に「根拠のない自信」が小さく不安定だと、その上に積み上げていく勉強や習い事も、うまくいかなくなります。
困難があった時に挫折しやすく、プレッシャーにつぶされてしまう可能性が高くなってしまうのです。
一方、「根拠のある自信」とは、子どもが自分自身の力で獲得するもの。
たとえばスポーツ、音楽コンテスト、発表会に出て人前でダンスや演劇を披露したりと、競争にもまれながら一つのことを継続していくことで得られる自信です。
親は、子どもが「根拠のある自信」を獲得していくために精一杯のフォローをしていくことが重要になります。