この20年で時代は大きく変わったが、今後20年の変化は、その比ではない。思いもよらない変化が次々と起きるこれからの社会では、「たくましさ」、「地頭のよさ」、「社交性」が常に求められるのだ。「世界標準の子育て」では、4000名のグローバル人材を輩出してきた著者が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を紹介していく。

世界一教育熱心な国となった韓国

アメリカで暮らしていると、韓国人ママの教育熱心ぶりに驚かされます。
私の学校にもたくさんの韓国人が子どもを連れてやってきます。お母さんから話を聞くと、「子どもの教育のためにアメリカに移住してきた」というのです。
実は韓国では、借金をしてまで教育体制を整えようという親が急増しているのです。
何がそこまでせきたてているのでしょうか?
儒教の影響が根強く残る韓国は、「学歴信仰」が社会の根底にあります。「子どもを良い大学に入れなければならない!」という世間のプレッシャーがケタ外れに強い社会であるため、韓国は「世界一」子どもの教育に熱心なのです。
少し前まではソウル大学や高麗大学といった韓国のトップ大学に入れることが目標でした。ところがグローバル化の進行によって韓国のトップ大学の地位(価値)が揺らいでしまったのです。

英語ができなければ、大企業に就職できない

2000年以降、韓国企業のグローバル化が急速に進行し、韓国のトップ大学を出ても、英語ができなければ大企業に就職できない、という事態に陥りました。これが韓国の教育ママたちの目を一斉に海外に向けさせたのです。
「もはや韓国のトップ大学を出ても国際社会では通用しない、目指すはハーバード、オックスフォード、スタンフォード、世界のトップ大学だ!」という流れができています。
この流れを加速させるのが韓国内の職業格差です。韓国は強烈な学歴社会であると同時に「職業序列」社会です。序列の上位にあるのは、医者・弁護士・大学教授といった専門職、政府企業の従業員や大企業の正規社員といった職業で、多くの親は子どもをこの仕事に就かせたいと必死になっています。
もちろん、韓国に就職口がないわけではありません。ただ、誰もが社会的地位が高く、賃金が高い職業を希望するため、一部の競争が過熱しているのです。
たとえば、韓国のトップ企業サムスン電子と、その子会社の中小企業では賃金格差が4倍という調査報告があります。これは極端な例にしても、大企業の年収は中小企業の2倍以上というのが一般的な認識のようです。当然、賃金の高い企業の就職競争は激化します。
このような背景で、「子どもに一流の教育環境を与えねば!」と、借金をしてまでも海外のトップ大学を目指そうとする親が急増しているのです。

英語力「下から3番目」が、「上から3番目」に

グローバル化が進んだ結果、韓国の英語力は飛躍的に向上しました。
20年前まで韓国のTOEFLの成績は日本と同レベル、アジアで「下から3番目」でした。しかし、今では「上から3番目」。
香港、シンガポール、フィリピンなど、英語が日常的に使われている国と肩を並べるレベルまで上がってきています。
さらに韓国の英語熱の高まりと並行して、アメリカへの留学生も急増しました。
韓国の人口は日本の半分以下の約5000万人です。しかし、アメリカの大学に通う韓国人の数は6万3000人で、日本の「3倍以上」。
その結果、ハーバード、スタンフォード、イェールなどの全米トップ大学への合格者数もアジアでトップクラスになりました。ハーバード大学に通っている韓国人学生は298人(2014年度)で、中国に次ぐ大きな数字です(*日本人のハーバード生は78人で、台湾の80人よりも少ない)。*数字はすべて2015年現在のもの