今年6月、三菱東京UFJ銀行は小山田隆前頭取の健康問題を理由として、三毛兼承頭取の就任を決めた。突然のトップ交代劇からの4カ月間で感じたことや、銀行単体からグループ連結へと経営の重心が移りゆく中での銀行頭取の役割について、三毛頭取に聞いた。
──これまで、三菱東京UFJ銀行の頭取は長年の帝王学を経て就任してきましたが、今回は予期せぬ交代。ただ、もはやそういう時代ではなく、また、メガバンクの頭取には三毛さんが持つような海外経験が重要という指摘もあります。この4カ月間で現代の頭取に必要なキャリアや能力についてどのように感じましたか。
4カ月の経験では、ちょっとおこがましくて語れないです(笑)。
頭取の要件というよりも私が率直に感じたことを申し上げると、頭取就任に当たって海外から帰ってきたということもありまして、行内に変革が必要だという決意を新たにした面があります。
なぜかというと、海外では資金需要がしっかりとあります。そして、資金を貸し出す能力というのは非常に重要なんです。
ところが、日本に戻ってきてこの4カ月間で200社以上の企業の経営者と話をしましたが、日本では様相が異なります。貸し出し能力は重要ではありますが、それ自体に大きな付加価値はもはやない。プラスアルファがあって初めて、貸し出しに意味が出てくる。これは海外から日本に戻ってくると強烈に感じますね。