お金やモノを借りるときだけではなく、営業や就職、結婚など世の中には陰に陽にあなたの信用力を問われる場面があふれている。そのときにあなたの信用力を証明する点数があったらどうだろうか。実は、世界にはそれが現実のものとなっている国がある。そして今、日本にもその波が押し寄せている。(週刊ダイヤモンド編集部 鈴木崇久)

>>「テクノロジーとリアルの交差点」特集一覧を見る

個人の「信用力」が学力偏差値を超える社会のモノサシになりつつあるみずほ銀行とソフトバンクが共同で設立した「J.Score」が提供する個人向け融資サービス

「10万円貸してくれない?」

 もし友人にそう頼まれたら、あなたはお金を貸すだろうか。そのとき、あなたの脳内では友人の日ごろの金づかいや言動、友人との仲の良さ、自分の懐具合など、さまざまな情報が駆けめぐり、友人を“審査”するだろう。

 そんなあなたの脳の働きを人工知能(Artificial Intelligence、AI)に、脳内の情報をビッグデータに置き換えた新たなサービスが、9月25日にスタートした。みずほ銀行とソフトバンクが共同で設立した、J.Score(ジェイスコア)が提供する個人向け融資サービスだ。

 年齢や学歴、家族構成、年収など20ほどの基本質問に答えると、AIが1000点満点でユーザーの信用力をスコア化する。スコアが高いほど多くの金額を低い金利で借りられる仕組みだ。

 さらに、性格診断や趣味嗜好、生活スタイル、お金の使い方などに関する任意の質問も150ほど用意されており、それらに追加で答えるほど信用スコアがアップしていく。 あなたも、よく知らない友人にはお金を貸しても大丈夫か悩むだろう。AIも同じで、ユーザーが自身に関する幅広い情報を教えることで、AIがより精緻に信用力を評価することができるようになるというわけだ。

 既存の個人向け融資サービスには消費者金融の融資や銀行カードローンなどがあるが、ジェイスコアの大森隆一郎社長は、「金利の低さという圧倒的な商品性」を差別化要因の一つに挙げる。