モダンでシンプルな雰囲気で味わうコース料理は、前菜、蕎麦豆腐、蕎麦掻き、蕎麦二色、デザートが付いて1500円。お任せの蕎麦懐石が2500円とリーズナブル。しかも、蕎麦はすべて手挽き。このレベルの蕎麦と料理がこの値段で楽しめる店はちょっと他にはないだろう。

売り切れ御免が上がる住宅街の隠れ家
シンプルで落ち着いた店内で過ごす大人の時間

「そば切り すゞ木」。保谷駅から徒歩8分ほどの住宅街の一角に佇む。爽やかな一陣の風が吹き抜けるような様相の外観、お洒落で大人の雰囲気がある。

 西武池袋線の保谷駅で降りる。目的の「そば切り すゞ木」までは徒歩で8分ほど。周りはマンションや住宅が立ち並ぶ居住圏だ。

 点在する幼稚園や学校を眺めながら、こんなところに蕎麦屋があるのだろうかと多少不安になるが、構わずにしばらく行くと、洒落た顔の手打ち蕎麦屋が現れる。

 門構えはコンクリート打ちっぱなし、よし簾を何枚かあしらい、足元は石造りの庭園風。住宅街の一角に快い風が吹き抜けているようだ。

シンプルでモダンなデザインの店内は、大人たちが静かに憩える空間が広がる。時間の経つのも忘れ、思わず酒徳利を振り鳴らしたくなる。

 店内に入ると、真っ白な壁に大小の埋め込み棚がいくつも切られていて、そこに置かれたシンプルな生花瓶をやわらかな間接照明が照らしている。

 メープル板のテーブルに合わせた茶色の椅子がきれいに並ぶ店内は、座れば心が落ち着く空間だ。

 一角にはコンクリートブロックの壁で区切られたスペースがあり、ゆったりとしたテーブル席が置かれている。大人同士の時間をゆっくりと過ごすにはピッタリの席だ。

「豆乳胡麻和えそば」。ルッコラ、塩豚、トマトが豆乳胡麻和えソースに絡む。蕎麦をパスタと考える工夫。手挽きで少数の客の心を満たす。

 ついつい1人で昼酒を楽しみたくなる、そんな心憎い空間がここにはある。夕方には徳利を傾けて、気のあった人たちと談笑しながら、寒の宵にひたりたくなる。シンプルでモダン、心地いい雰囲気の店内には、穏やかな時間がゆっくりと流れている。

 当然、何度でも通いたくなるところだが、平日は20食程度の手挽き蕎麦しか打たない。すぐに蕎麦売り切れの看板が出る人気店なのだ。