トランプ大統領が11月5日~7日、訪日した。安倍総理とトランプ大統領、2人の共通課題は「北朝鮮問題」「貿易問題」といわれる。その通りなのだが、もう一つ重要なテーマがあった。「中国問題」だ。(国際関係アナリスト 北野幸伯)

米国大統領のアジア訪問としては
異例の長期、その目的は? 

トランプ訪日最大の成果は「中国包囲網」の合意だ北朝鮮問題と貿易問題に隠れてあまり注目されなかったが、実は「中国包囲網」に関する合意こそ、今回のトランプ訪日最大の成果だ Photo:REUTERS/AFLO

 今回のトランプのアジア訪問は、非常に長期だ。5日~7日、日本に滞在。その後、14日までに、韓国、中国、ベトナム、フィリピンを訪れる。米国大統領のアジア訪問としては、なんと過去25年間で最長である。

 トランプは、どんな目的でアジア諸国を訪問するのだろうか?1番は、やはり「北朝鮮問題」を解決することだろう。日本で、日米の結束を確認する。韓国では、この国を守ることを約束する。それと同時に、「圧力」と「対話」の間を行ったり来たりしている文大統領をいましめる。そして中国では習近平に、北朝鮮問題でさらなる協力を要求する。

 2番目は貿易問題。より具体的にいうと、「米国の貿易赤字を減らすこと」。米国の貿易赤字は、国別では1位が対中国で、2位が対日本である。

 3番目は、あまり報じられていないが、「中国問題」を解決することである。これは、何だろうか?具体的にいえば、中国が南シナ海で勢力を拡大している。これを、止めなければならない。

 少し考えればわかるが、トランプがこの後訪問するベトナムやフィリピンは、「北朝鮮問題」にも「貿易問題」にもほとんど関係がない。トランプはベトナムで、10、11日に開催されるAPEC首脳会議に出席する。同国では、チャン・ダイ・クアン国家主席と会談するが、「中国の脅威」について協議されることになるだろう。

 米国とベトナムは、1960~70年代、激しく戦った。しかし、中国が南シナ海で勢力を伸ばすにつれて、両国関係は改善されてきた。ベトナムは今、「米国と関係を改善することで、中国に対抗しよう」と考えているのだ。