佳食漫遊!ニッポンの郷土料理
【第11回】 2011年11月25日 橋本裕之

「子持ちハタハタ」に「きりたんぽ鍋」
嗚呼、秋田の冬の味覚に今宵舌鼓を打つ

 秋田県は東北でも随一、日本でも有数の日本酒の酒量を誇る(長年、県民一人当たりの清酒の消費量が全国の上位をキープし続けている)。筆者の父方の実家は岩手で、妻は青森とお互い隣にある県ながら、秋田人の酒量は、たしかにそれを上回っている気がする。まさに「呑んべえ」の県である。海の幸、山の幸に恵まれた秋田の食文化は、そんな左党の満足なつまみももちろん充実している。

 今回、そんな秋田料理を味わうためにやってきたのは、なんとバーである。「RECOVER」は、印象的なオレンジの外装と木目を基調とした内観で、いかにも本格的なバーの雰囲気。

 ひとりで切り盛りしているバーながらも、しっかりとした食事も提供するというのが秋田県大館出身の店主・梅村さんのスタイルだ。梅村さんは、故郷から送られる四季折々の食材を用い、郷土の味を東京に伝えている。

さすが、呑んべえ県のつまみ!
旨いつまみの要素をすべて備えた三連星

いぶりがっこ、かぶの千枚漬け、みずの実の漬物の三連星。スモーキー感、甘さ、酸味、塩気、食感と旨い酒のつまみの要素をすべて持っている。

 まずは「いぶりがっこ」を中心とした、つまみの3種盛りがでてきた。

 秋田の代表的なつまみの代表的なもののひとつが、このいぶりがっこである。いぶりがっこは秋田県の県南地域で作られたいわば「たくあんの燻製」である。正確には燻製した大根を、燻製した大根を主に米糠と塩で漬けこみ、たくあん漬けにしたものだ。降雪の時期が早い山間部で、大根の天日干しができなかったため、室内で囲炉裏の熱で。いぶって干したからと言われる。

「うーん。スモーキーなのに、しっとりとして、しかも、甘さもあって、他にない味だなぁ」

 スモーキーなツマミの代表格であるスモークチーズなどとは、また違った酒との合い方をする。

「まずはビール。そして、日本酒ももらおう!」

 スモーキーさと甘さの組み合わせで、ダブルで頼んだビールと日本酒がすいすいとあいていく。こんなつまみがあったら、酒もたくさん進むのも当たり前だ。

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橋本裕之

飲食店から蔵元訪問など、豊富な食べ飲み歩きの経験から、出版やWEBなどで、食と酒をテーマにした編集やライティングに関わる。過去の執筆に『dancyu』(プレジデント社)、『本格焼酎ぐびなび』(誠Style)など。SSI認定焼酎アドバイザー。ティーコンシェルジュ2級。


佳食漫遊!ニッポンの郷土料理

土地々々の風土に磨かれ、伝え継がれてきた日本の郷土料理を、料理の歴史や地域の慣習などを交えて紹介。その素晴らしさ、味わい深さを再確認していただければ幸いです。

「佳食漫遊!ニッポンの郷土料理」

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