労災で会社に慰謝料500万円要求しながらパチンコ三昧、作業員vs社長の顛末ケガをした場合、労災申請をしているだろうか?特に建設現場で下請け業者の労働者がケガをした場合、元請業者から疎まれるのを嫌って「労災隠し」といったケースも少なくない(写真はイメージです)

建設現場の作業員が仕事中にケガをし、労災請求。2週間ほどで治るはずだったのに、働けなくなったことを口実に、会社に対して500万円もの慰謝料請求をしてきた。会社はその時どう対応すべきか?(特定社会保険労務士 石川弘子)

K社概要
創業20年の建設業。主に戸建住宅を取り扱っている。従業員数は50名程度で、50代の創業社長を中心に結束が固い。ここ数年、売り上げがグングン伸びており、中途採用で経験豊富な現場社員を大幅に増員してきた。
登場人物
小林社長:K社の創業社長。10代から建築会社で作業員として勤め、30代で独立した。情に厚く、年上の部下とも上手くコミュニケーションを取っており、社員からは慕われている。
早川:小林社長の古くからの友人で、良き相談相手でもある一人親方(労働者を雇用せずに自分と家族などだけで事業を行う事業主)の大工。仕事には厳しく、職人仲間から「鬼の早川」と恐れられている。K社の現場を手伝うことも多く、金子と同じ現場で働いている。金子とは現場で作業の合間に世間話などをする仲である。
金子:K社に入社して3ヵ月の30代の作業員。時間にルーズで、仕事もいい加減。作業現場ではいつも同僚や早川に怒られているが、反省している様子もない。

高い所で作業中に
バランスを崩して落下

「ドン!」

 大きな鈍い音がして、その場にいた作業員全員が音がした方を見ると、金子が背を丸くして横になって倒れ込んでいた。