未来を導くベンチャー

 しかし、2000年代からシリコンバレーにある数多くのベンチャー企業について分析し始めて様相が一変する。その後いろいろなキーワードで広く知られるようになる技術領域や事業モデル、新しいパラダイム(時代の転換点)を描けるようになったのだ。

 例えば、モバイル、ビッグデータ、クラウド、IoT、オープンアプリケーション、そしてiPhoneそのものなどがそうだった。

 それは、私が経験を積んで賢くなったからではない。私の周りにいた次世代を担う人たちが「ベンチャー企業」という枠組みで活動していたからだ。私は仲間と共に、数千に及ぶ玉石混交の取り組みをするベンチャー企業の活動を丁寧に読み解いただけだった。

 未来に向かって果敢にチャレンジするのがベンチャー企業だ。シリコンバレーでは、毎年何千社というベンチャー企業が生まれてはその多くが消えていく。ここから学ぶことは山ほどあり、未来に示唆を与えてくれる。

 現代社会を築いてきた大人こそが自らの成功体験を一度忘れて、未来を予測することについてセンスがないことを認識することだ。すなわち「知らずを知る」である。

 大人たちが謙虚になり、未来に向かってまい進する次世代の考えや動きを真っさらな気持ちで見る。そうすれば、ザッカーバーグが言うように、全ての人が目的意識を持てるような社会の構築につながり、次世代の若者に未来を託すことができるだろう。(敬称略)

*「週刊ダイヤモンド」2017年7月22日号からの転載です