11月21日、“投資の神様”ウォーレン・バフェット氏が、自らが率いる投資会社バークシャー・ハサウェイの孫会社・タンガロイ(非上場)の新工場完成式典に参加するため、齢81歳にして初めて日本を訪れた。もともとは3月22日に計画されていた式典だったが、東日本大震災があり延期されていたもの。ザイオンラインはこの式典を取材、オープニングセレモニーの言葉と記者会見の模様をお伝えしよう。
オープニングセレモニーの言葉
私は、9ヵ月前にこちらに来ることになっていたのですが、津波という悲劇的な災害が起こったせいで、延期をせざるを得ませんでした。
あの時は、大変失望したことを覚えております。しかし、こうして今日、工場のオープニングセレモニーの席に着くことができることを、たいへん嬉しく思っております。
わずか9ヵ月の間にここまで回復できるとは、夢にも思っていませんでした。今、世界中の人々が福島に注目していますが、私以上に皆さんのことを誇りに思っている人間はいないでしょう。
今日新しい工場がオープンします。ここから様々な製品が世界に送り出され、新しい雇用を生んでいくことでしょう。単に一つの工場が完成しただけではありません。「タンガロイ」という企業が、新しい一歩を踏み出す、記念すべき日です。
記者会見
Q 大震災が起きた日本を投資対象としてどう見ているか
A これは私だけではないと思いますが、世界中が、今回の震災、とりわけ原発事故後の日本を見て「やはり日本は、先に進むことをやめない国だ」という認識を新たにしたと思います。
この9ヵ月の間に、津波によって一時的な中断はありましたが、日本人の前進を止めるものではありませんでした。それに対して、私は敬意と賞賛の意を感じ得ます。
そういう意味で、私の日本人や日本の産業に対する見方は変わっていません。信頼できるもの、10年、20年、50年経っても、皆が欲しいと思うものを作っているか、これが、私が投資判断をする上での基準であります。
Q オリンパスの粉飾決算事件で日本企業に対する見方は変わりましたか
A 時々、重要な企業であのようなことが起こるのは、日本だけではありません。アメリカでもヨーロッパであっても同じです。
もちろん、それは大きな驚きではありますが、私のファンダメンタルズの判断が、ほかの企業に及ぶわけではありません。
Q 日本企業に投資を考える場合、どういう企業/業種が魅力的だと思っていますか
A 答えは「持続可能な競争力を、基本的な事業に置いて持つ会社」です。しかも「その期間が何十年も続く会社である」ことも付け加えましょう。
その意味では、タンガロイのような「ツールビジネス」は一つの例です。アメリカでは、鉄道や電気などの公共事業に関わるところに魅力を感じます。
その時の価格(株価)を勘案して妥当だと判断し、経営陣に対して安心できれば、私は投資することにしています。