2015年、「子どもの貧困対策センター・公益財団法人あすのば」の発足直後から、募金・寄付を財源として始まった「あすのば給付金」。この民間の試みには、従来の奨学金にはない精神が込められている(写真はイメージです)

学生支援機構の対極に
経済状況が前提の民間奨学金

 2015年6月、「子どもの貧困対策センター・公益財団法人あすのば」が発足した。2013年6月、「子どもの貧困対策法」が国会で全会一致のもとで成立してから、ちょうど2年後だった。「あすのば」が発足直後から、募金・寄付を財源としてスタートさせた入学・新生活応援給付金事業(以下「あすのば給付金」)は、2017年度で3回目となる。今回は、この民間の試みの現状と課題を紹介する。

 あすのば給付金の特徴は、徹底して「ニードベース」(受け取る側の事情を重視)であることだ。条件は、家庭の経済力が薄いこと、あるいは児童養護施設や里親のサポートから外れることのみ。家庭が生活保護世帯または住民税非課税世帯であれば、応募資格がある。現在、児童養護施設や里親のもとで暮らしており、来年度からの自立生活を予定している場合も、応募資格がある。この他に、災害被災などによって大きな影響を受けた子どもたちのための特別枠もある。用途には制限はない。もちろん、返済の必要もない。

 この対極にあるのは、学生支援機構が来年度から本格的に開始する給付型奨学金だ。これから大学進学を予定している高校3年生を対象としたものだが、条件は「高い学習成績」または「教科以外の学校活動などで大変優れた成果を収め、おおむね満足できる学習成績」となっている。

「高い学習成績」の基準は、評定平均4.3以上。学力や将来性が期待される高校生だけが対象となる、典型的な「メリットベース」(投資効果を重視)だ。しかも機会は、大学進学時のみ。大学進学が現実になる時期より前に子どもが経験し得るハードルは、想定されていない。高い潜在能力を持ちながら家庭環境などの影響で成績がパッとせず、同じ理由で部活などでの活躍もできていない高校生も、対象として想定されていないだろう。

 あすのば給付金の場合、小学校入学・中学校入学・中学卒業・高校卒業等の4種類が「新生活」として想定されている。「高校卒業等」は、今年度末の高校(またはそれに準じる学校)卒業だけではなく、次年度からの大学・短大・専門学校等への進学予定を含んでいる。高校卒業後に浪人するなど、ストレート進学ではないケースも想定しているのだ。

 ちなみに現在、生活保護世帯からの大学進学を認めるための施策が政府内で検討されているが、生活保護のもとでは、就労可能な18歳以上の子どもが浪人することは認められていない。