中古市場の値動きが
今後どう影響するか

 デベロッパーの戸建ては、マンション開発で培った蓄積を生かし、将来の成熟を想定しながら街並み開発を行うのが特徴。首都圏戸建て市場におけるシェアは5%程度と低いが、マーケットをけん引する動きを見せ始めている。

 戸建て市場の過半の物件数を扱うのは、安い建売住宅を扱う郊外型のパワービルダー。次いで地域に根差す地域密着型ビルダーがいる。注文建築が主力のハウスメーカーは、時間をかけこだわりを盛り込んで家を建てるのが仕事だ。

 そうした事業者の住宅と違って、デベロッパーの戸建ては付加価値を高め常に周囲と差別化を図っているのが身上。エリア的にはマンションとほぼ競合する。

 ところで2017年9月の首都圏における新築住宅着工数は、分譲マンションが前年同月比▲37.2%、分譲戸建てが同▲7.6%、10月がマンション同▲18.6%、戸建てが同1.2%と微増したものの精彩を欠く。

 その一方で中古マンション市場の値動きの影響も懸念される。成約価格は3209万円と、13年1月より58カ月連続で前年同月比が上昇。それを受けて成約率が同▲7.1%と下がっている。「自宅マンションが高値で売れたから広い新築戸建てへ」という流れが、滞りかねない勢いだ。

 市場は生き物で、さまざまな要因が絡み合って動いていく。この先、19年に予定されている消費税再増税の影響、22年の生産緑地問題も控えている。東京における新築住宅激戦エリアである世田谷、練馬辺りで高級住宅がどう動くか─今後を読み解く物差しの一つとして注目していきたい。

この記事が収録されている「週刊ダイヤモンド」別冊 2018年1月14日号 新築 マンション 戸建て『首都圏 関西圏 中京圏 伸びる街&地域活力ランキング』の詳しい内容は こちらからご覧いただけます。

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