また、継続的な勤務を奨励する手当・施策や、育児支援におけるサポートなど、安定的に長く働いてもらえるための各種施策も実施していく予定。

 12月5日の開所式に出席した千葉市の熊谷俊人市長も、市内に多用な人材が働きやすい職場ができたことを歓迎した。千葉市では、「企業立地促進事業補助制度」の対象予定者としてAIDCを認定し、千葉市民の雇用促進をサポートしていく考えだ。

ゼロ・クライアントを基盤とした
高度なセキュリティ体制を構築

デルの最新シンクライアントマシン(写真下)による「ゼロ・クライアント」方式を採用。すべてのデータはサーバー側に保存され、端末側には一切データが残らない

 AIDCでは、標準化した業務をさらにRPA(業務自動化)などでIT化する、紙ベースでの業務をデジタル化することでAIの活用を推進し、AIDC発のイノベーションで監査現場をサポートする。

 システムは、監査業務のデジタルトランスフォーメーションと高度なセキュリティを実現する情報テクノロジーで構築されている。執務スペースにあるPCブースの端末は、通常のPCとは異なり、ユーザー側の端末の機能は必要最小限にとどめ、サーバー側で処理を行なう仕組みになっている。すべての設定をサーバー側で管理する「ゼロ・クライアント」を基本に作られているため、端末に一切のデータ(作業した文書やログデータなど)が残らない。

 また、監査現場とAIDCをつなぐのは、最新のデジタル技術。現場で得た紙資料をデジタル化するためのプラットフォームや、数多くの監査チームからの依頼を適切に管理し、運営するための情報管理基盤などをつくりあげている。

 例えば、監査チームから送信されたデータは、自動仕分けされてAIDCの担当者に割り振られる。このデータは、その担当者しか見ることはできない。ゼロ・クライアントとペンタブレット、オンラインコラボレーションによる完全仮想化を実現しているわけだ。

 もちろん、業務はペーパーレスが基本(報告書印刷など紙での作業が前提となるものを除く)。監査先企業のデジタル化が進み、紙媒体から電子媒体にシフトしてペーパーレス化が進んだことも、AIDCでの業務集中化が可能になった要因の1つといえる。

 執務スペースには私物は持ち込めないため、私物保管スペースが設置されている(ハンカチなどは透明なバッグに入れて持ち込む)。携帯電話もNGだが、緊急時のために連絡先(メールアドレスおよび電話番号)を家族に伝えているため、子育て中の親でも安心して働けそうだ。