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安東泰志の真・金融立国論

抜本的な解決には程遠いユーロ危機
困難な経営環境に邦銀はどう立ち向かうか

安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]
【第16回】 2011年12月14日
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 08年秋のリーマンショック、そして昨年から深刻化の度合いを深めるユーロ危機の中にあっても、邦銀は相対的に健全性を保っているように見える。しかし、果たして邦銀の経営は磐石と言えるのだろうか。そして、ユーロ危機に直面する世界の中で、邦銀には何が出来るのだろうか。

 本稿では、まずユーロ危機の本質を簡単に俯瞰し、それが金融規制の厳格化と相まって深刻化する世界の金融機関の経営、その中で邦銀がどう対応すべきかを考える。

ユーロ危機の本質は
経常収支の域内不均衡

 ユーロ制度は、91年末に締結されたマーストリヒト条約に基づいている。金融政策は、各国政府から独立したECB(欧州中央銀行)が担い、財政政策は97年に締結された「安定・成長協定」に従い、各国政府が担う。

 「安定・成長協定」には、ある国の財政赤字がGDP比で3%を恒常的に越えないことを定めており、それを越えた国に対する罰金規定もあるのだが、実際には適用されていない。すなわち、各国にかなりの裁量が与えられた緩やかな制度だと言うこともできる。その結果、リーマンショック後には南欧諸国(スペイン・ポルトガル・イタリア・ギリシャ)を中心に財政収支が悪化した。

 さらに、99年にユーロが導入されてからの一貫した傾向として、物価が高く人件費も上がって競争力を失っていった南欧諸国に対し、東欧諸国への進出などをテコに人件費を抑制し、競争力を増したドイツやオランダなどとの間で経常収支に不均衡が生じていた。通常であれば、経常収支の不均衡は、為替レートの変動によって調整されるのだが、ユーロという単一通貨があるため、そのメカニズムは働かなかった。

 それどころか、南欧諸国など経常収支赤字国が、それをファイナンスするための国債は、ユーロ圏の他国から見れば為替リスクを負わずに高スプレッドを得られる投資であった。このため、多くの資金が流入したことによって、南欧諸国はむしろ資産バブルに沸いていたのである。

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安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]

東京大学経済学部卒業、シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。1981年に三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、1988年より、東京三菱銀行ロンドン支店にて、非日系企業ファイナンス担当ヘッド。90年代に英国ならびに欧州大陸の多数の私的整理・企業再生案件について、参加各行を代表するコーディネーターとして手がけ、英国中央銀行による「ロンドンアプローチ・ワーキンググループ」に邦銀唯一のメンバーとして招聘される。帰国後、企画部・投資銀行企画部等を経て、2002年フェニックス・キャピタル(現・ニューホライズンキャピタル)を創業し、代表取締役CEOに就任。創業以来、主として国内機関投資家の出資による8本の企業再生ファンド(総額約2500億円)を組成、市田・近商ストア・東急建設・世紀東急工業・三菱自動車工業・ゴールドパック・ティアック・ソキア・日立ハウステック・まぐまぐなど、約90社の再生と成長を手掛ける。事業再生実務家協会理事。著書に『V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生』(幻冬舎メディアコンサルティング 2014年)。
 


安東泰志の真・金融立国論

相次ぐ破綻企業への公的資金の投入、金融緩和や為替介入を巡る日銀・財務省の迷走、そして中身の薄い新金融立国論・・・。銀行や年金などに滞留するお金が“リスクマネー”として企業に行き渡らないという日本の問題の根幹から目をそむけた、現状維持路線はもはや破綻をきたしている。日本の成長のために必要な“真”の金融立国論を、第一線で活躍する投資ファンドの代表者が具体的な事例をもとに語る。

「安東泰志の真・金融立国論」

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