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3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

この大転換期はいつ始まりいつまで続くのか

上田惇生
【第269回】 2011年12月19日
著者・コラム紹介バックナンバー
ダイヤモンド社刊
2520円(税込)

 「1913年(第一次大戦の前年)の数字と、1968年の数字を見るならば、その間に起こった二つの大戦、ロシアと中国の革命、ヒトラーのごとき変事に気づかなくとも不思議ではない。それらの変事は、1968年の数字にはいかなる痕跡も残していない。たしかに戦後の経済発展は急速だった。だが、それは第一次大戦前の産業によるものだった」(ドラッカー名著集(7)『断絶の時代』)

 ところが、この一見平穏な20世紀も3分の2を経た頃、地震の群発のように、激動が先進社会を襲い始めた。ドラッカーはこの地殻変動を、グローバル化の時代、多元化の時代、知識の時代、企業家の時代としてとらえた。

 英国首相のサッチャーが、ドラッカーによるものとして推進し、やがて世界中に広がった政府現業部門民営化の構想が発表されたのも、この『断絶の時代』においてだった。ドラッカーは、“再民間化”と名づけた。手を広げ過ぎて疲れ果て、弛緩して不能になった中年疲れの政府に元気を取り戻させるには、社会のための仕事の実行の部分、すなわち政府現業部門を再民間化しなければならない。

 現在、いわゆるハコモノ行政の問題にしても、有用でないから廃止すべきなのではない。現業を苦手とする政府や自治体がやるべきではないから廃止すべきなのだ。

 その断絶の時代がまだ続いている。ドラッカーは『断絶の時代』の20年後の1989年、『新しい現実』において、歴史にも峠があると書き、さらにその4年後の93年には、『ポスト資本主義社会』において、この大転換期は2020年まで続くといった。

 しかし、この調子では、2020年を超えても、今の大転換期は終わらないかもしれない。情けないことに、われわれ自身が転換できないから、いつになっても転換期が終わらないのかもしれない。

 「今や、経済も技術も断絶の時代に入っている。われわれは、この時代をさらに偉大な発展の時代にすることができる。ここで明らかなことは、技術、経済、産業、ガバナンス、マネジメントのすべてが、断絶の時代に入るということである。つまり、偉大な一九世紀の経済的建造物の完成に精を出している間に、まさにその土台そのものが変化を始めたのである」(『断絶の時代』)

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上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。

「3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言」

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