経営×経理

“部下は受け身で困る”
この見解は本当なのか?

 経理部の中で、経営改善に通じるアイデアを出しやすいのは上司と部下のどちらでしょうか。部下が集めた材料を総合的に判断して経営上層部に伝える上司だと思いきや、実はそうとも限らないのです。

 請求書や経費精算書といったデータ類にいち早く触れる経理担当者(部下)は、数字を通して変化に気づくことができるからです。また、他部署の社員と接触することも多いため、上司よりも現場事情を深く汲み取っているともいえます。時には、経理担当者の提案が組織全体を動かすこともあり得るでしょう。

 ただ、彼らの能力も千差万別ですし、上司が部下の仕事の本質を理解していないために支援・指導が行き届かないことは珍しくありません。

 老舗のメーカーに勤務する経理次長Aさん(40代男性)は部下の育成に余念がないものの、部下らに成長の兆しが見えず悩んでいると言います。

 「会議の場でも、私しか発言していないんです(苦笑)。こちらは、一生懸命指導しているつもりなのですが、部下側に意見がないのでしょうか? 与えられた仕事をこなすことしか、頭にないみたいです…」

 こうした課題を耳にする機会は多くあります。筆者がセミナーや社内研修をしていると、部下が“受け身体質”で、自発的に仕事にあたる習慣が身についていないという悩みを打ち明けてくる上司が多いのです。

 ただ、もう少し深くヒアリングすると、問題は部下だけではないことが分かります。

 例えば、上司が部下が抱える仕事の実情を把握していないため、部下が相談を求めても目先の問題解決ばかりを優先して、根本的な改善がなおざりになっているケースがあります。また、上司が“経理の仕事はこうあるべき!”といった固定観念を持っていて、部下の自由な成長を阻んでいるなど、部下側ばかりを責められないケースが見受けられるのです。

 つまり、問題が上司・部下の両者間に潜んでいるため、互いの役割が果たせていないようなのです。

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大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道

経理スタッフは「定型的な事務作業をこなす人材」と捉えられがち。彼ら彼女へ向けられる仕事の効率化と言えば、“仕訳の自動化”“仕事を属人化させない”といった、表面上の作業の改善を求めるものばかりだ。しかし、本来は経理=経営管理者なのだ。経理の能力を伸ばし、経営のために力を借りるにはどうしたらよいのか。様々な業種の経理畑を歩み、一担当者から管理職まで様々な立場を経験した著者が、経理環境改善のコンサルタントとして、実務者・管理者への支援活動に当たる中で感じたことをまとめる。

「大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道」

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