
就職情報会社の学情が2027年3月卒業・修了予定の大学・大学院生を対象にした「就職人気企業ランキング」を発表した。総合トップは8年連続で伊藤忠商事。東宝、任天堂、オリエンタルランド、集英社といったエンターテインメント系企業が上位を占める中、インバウンド需要の高まりを受けJTBグループやANA、JAL、JR東日本といった旅行、運輸業界も人気を上げている。マイナス金利解除や株高を受け金融系企業の人気も引き続き上昇している一方、トランプ関税の影響で自動車産業は人気を落とした。
好調の東宝が3位、任天堂4位 エンタメ系人気
JTBやANA、JALなど旅行・運輸業界も人気復活
金融系企業の順位も引き続き上がる
伊藤忠商事は8年続けて1位となり、2001年以降では最長となる連続トップ記録を更新した。伊藤忠商事を含む大手総合商社5社は引き続き業績好調をキープ。
伊藤忠商事は24年度の純利益で三菱商事(ランキング22位)、三井物産(98位)に次ぎ3位だったが、過去最高益を記録。資源分野に強みを持つ三菱、三井と違い非資源分野を主力としており、システム開発を手掛ける子会社などが好業績をけん引。25年度は三菱、三井を抜いて業界トップの座をうかがう。
大手小売りや数々のアパレルブランドを傘下に持ち、一般消費者に近い存在であることも人気の要因となっている。午後8時以降の残業を原則禁止する「朝型勤務」など働き方改革にも積極的で、ワークライフバランスを重視する就活生たちから高い評価を得ている。朝型勤務の時間を利用して複数の現場社員から話を聞ける「集団社員訪問」など、就活生向けの広報に熱心に取り組んでいることも人気につながっている。
『鬼滅』『国宝』の東宝が3位、女性ランキング1位に
インバウンド後押し、JTBや空陸運が人気アップ
3位に入った東宝は、女性ランキングでは1位(前回4位)に。大きな話題となり、25年の興行収入ランキングトップ2作となることが確実視される『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章』と『国宝』など人気作品を多数手掛け、25年度は最高益を見込む。
「ニンテンドースイッチ2」が好調な任天堂(4位)、「鬼滅の刃」や「呪術廻戦」など人気コンテンツを多数抱える集英社(7位)、ソニーと提携しIP戦略にさらに注力するKADOKAWA(9位)、ゲームや映像制作事業が好調のサイバーエージェント(36位)など、強いコンテンツを持つエンターテインメント系企業は引き続き高い人気を誇っている。
印刷業を中心にコンテンツ産業に関わる大日本印刷(6位)、TOPPAN(31位)も人気をキープしている。
上位の顔ぶれに大きな変動がない中、前回の19位から順位を11上げて8位にランクインしたのがJTBグループだ。コロナ禍を経てインバウンド需要が復調し、JTBの24年度の売上高は2期連続で1兆円を超えた。
インバウンド需要の伸びは運輸系企業の活性化にもつながり、ANAホールディングス(HD)と日本航空(JAL)の24年度売上高はいずれも増収で、ANAHDは過去最高を記録した。ランキングもANAが14位(前回29位)、JALは26位(前回45位)と大きく順位を上げている。
陸運分野でもJR東日本が40位(前回86位)、JR東海が119位(前回146位)、JR西日本が123位(前回127位)と順位を上げている。
25年のトレンド関連では、大谷翔平選手を広告に起用したおにぎりの販売が好調なファミリーマートが61位(前回286位)と大きく順位を上げた。
株高報道の影響か金融系が人気上昇
トランプ関税マイナスに働き自動車系は下落
マイナス金利政策の終了や連日報じられた株高の影響で、金融系の人気上昇も目立つ。三菱UFJ銀行が33位(前回58位)、三井住友銀行が52位(前回77位)、りそなグループが63位(前回105位)とそれぞれ大きく順位を上げ、野村證券(83位)や大和証券グループ(91位)、SMBC日興証券(103位)といった証券系、三井住友海上火災保険や第一生命保険などの生保・損保系も複数がランクアップした。
株高をけん引するAIブームを受けてか、グループでAI関連投資を強化しているソフトバンクが131位(前回273位)と大きくランクアップしている。
一方、2025年1月に誕生した米国の第2次トランプ政権による関税政策の影響を受け減益の自動車産業は、200位以内に唯一入った完成車メーカーのトヨタ自動車が42位(前回25位)、自動車部品メーカー最大手のデンソーが199位(前回140位)、前回110位の本田技研工業は200位圏外とランクダウンが目立った。
多様な人材が活躍できる味の素が理系1位
ゲーム業界も人気が高まる
今回総合2位に入った味の素は、前回に引き続き理系1位となり、文系でも順位を1上げて7位にランクインした。食品メーカーのイメージが強いが、電子材料や医薬関連事業など幅広い領域で事業を展開し、多様な分野の人材が活躍できる企業として人気を集めている。
前回理系14位から4位に順位を上げた生活用品大手のアイリスオーヤマは、主力事業の家電に加えてマスク事業や、パックご飯や飲料水などの食品事業にも注力。24年度の食品事業の売り上げは前年比45%の伸びで、4年ぶりの増収増益に寄与した。いずれの会社も、事業領域の幅広さが就活生のイメージアップにつながっているようだ。
食品業界ではサントリーグループが理系6位(前回21位)、ロッテが8位(前回16位)と順位を上げている。
コロナ禍を経て人気が上昇したIT系企業は、理系ランキングでSkyが2位(総合10位)、NTTデータグループが5位(総合34位)にランクインした。
理系ランキングでは3位の任天堂に加えてコナミグループが9位(前回36位)にランクイン。25年6月発売の「ニンテンドースイッチ2」がけん引し、ゲーム業界の人気が上がったとみられる。

