ところが、世界にはこれを対抗できる猛者がいる。それが、中国のIT大手・テンセントが開発する囲碁AI「絶芸」だ。

 テンセントは、11月に時価総額が米フェイスブックを上回る5230億ドル(約59兆円)に達し、中国のIT企業で初めて時価総額世界ランキングでトップ5入りした。近年の成長は著しく、AIにも巨額の投資をしている。アルファ碁ゼロの論文発表からわずか1ヵ月。テンセントが開発した絶芸の新しいバージョンは、3ヵ月前の絶芸に100%勝つようになった。AIの進歩は"秒針月歩"なのだ。

同じサイズの脳ならば
人間の棋譜も学んだアルファ碁の方が強い

 アルファ碁ゼロが、既存のアルファ碁のどのバージョンよりも強くなったことで、「人間のデータが、実は無駄だったのではないか」という議論が登場している。しかし今のところ、それが無駄だったという証拠はない。

 人間の棋譜を使ったアルファ碁の最強バージョンが、アルファ碁マスター(以下マスター)だ。マスターは2017年の正月に世界トップ棋士に60連勝し、一躍有名となった。ディープマインドは対局の勝敗数から強さを数字化する「Eroレーティング」を使い、強さを比較しているのでそれを見てみよう(レーティングの数が大きい程強い)。