ここでのポイントは、アルファ碁ゼロには二種類あるということだ。初期の20ブロック版と、最終的にマスターを超えた40ブロック版だ。このブロック数とは、人の脳を模した学習用のニューラルネットワークのサイズを示す。ブロックが多い方が、脳みそが大きいとイメージすればいい。

 となると、気になるのはマスターのブロック数だ。アルファ碁の開発者によれば、マスターは20ブロックだと明かされている。つまり、同じ20ブロックという頭脳の条件で比べれば、アルファ碁ゼロよりも、人間のデータを学習初期に使ったマスターの方が強いのである。なお、アルファ碁のニューラルネットワークは最新の「ResNet」を使っており、1ブロックは2層である。より詳しく知りたい方は、拙著『よくわかる囲碁AI大全』(日本棋院)を参照されたい。

世界大会で飛び出した
新星囲碁AIの驚愕の3手目

 囲碁AIの性能が急速に上がっていく中、12月9、10日に囲碁AIの世界大会「AI竜星戦」が東京・秋葉原で行われた。参加したのは世界から20チーム。アルファ碁は不参加だったが、多数の囲碁AIが熾烈な戦いを繰り広げた。上位の順位は次のようになった。

 優勝は先ほども紹介した、中国テンセントが開発するFineArt(絶芸)だった。トーナメント形式の本大会の上位陣最終戦は"日中決戦"の様相を呈し、今回は中国勢が全て勝った。特に絶芸は、アルファ碁ゼロの論文から1ヵ月という短期間でそのシステムを取り入れ、大会直前までにさらに実力を向上させた。ただし、絶芸は人間のデータを大量に使って学習している。やはり強い囲碁AIを早く作りたい場合は、人間のデータは有効なのだ。