自動車、バイク、パソコン、カメラなどの国内製品のブランドは、日本人なら誰でも知っているだけでなく、世界で通用するブランドも少なくない。これら大企業のフィールドだけでなく、中堅・中小企業でも世界に通用する技術力を持ち、グローバルに通用するブランドを確立した日本企業も多い。こうしたグローバルブランド企業の動向について、経営組織、経営戦略に詳しい、一橋大学の沼上幹副学長に聞いた。

一橋大学副学長 沼上 幹(つよし)氏
1960年静岡県生まれ。国立大学法人一橋大学理事、中小企業政策審議会基本問題小委員会委員長、「GNT100」選定評価委員会委員長などを務める。専門は、経営組織論、経営戦略論。

産業構造の変化が
海外進出を促す

 自動車業界や航空業界など巨大産業では、完成品メーカーを頂点に、一次サプライヤーであるティア1、その下のティア2、ティア3……というように、産業のネットワークが出来上がっている。下の階層に優れた技術や製品があっても、それ自体を海外展開しようという発想は従来なかなか出てこなかった。「しかし、産業構造の変化により従来の日本国内のネットワークが崩れ始めているため、自分自身で国外のマーケットを見つけて新たな市場に進出しなければならなくなったのです」と語るのは、経営学が専門の一橋大学・沼上幹副学長だ。

 そのような環境の変化に対する企業の活動を国も後押ししている。その一つの施策が、経済産業省が2014年に実施した「グローバルニッチトップ(GNT)企業100選」だ。中堅・中小企業を中心に、ニッチな市場でトップクラスのグローバルシェアを獲得している企業100社が選ばれた。

 「GNT100選」の選定評価委員会委員長も務めた沼上副学長は「日本の中堅・中小企業には、グローバル市場に入り込めるだけの素晴らしい技術やコンピタンスがあります。これからグローバル展開を図る企業には、『GNT100選』の選出企業を見本とし、新たな事業機会を見いだしてもらいたい」と語る。

バリューチェーンの転換で
新たな市場に進出

 グローバル市場で活躍する企業の多くは創業時から世界に目を向けている。また、創業家の代替わりのタイミングで、グローバルな経営哲学を持つ新経営者がけん引役となり、グローバル化がスムーズに進む事例も多く見られる。

 「後者の例として、ある西陣織の老舗は旧来からの『着物のバリューチェーン』から外に展開する戦略を取りました。布を素材として捉え、クッションカバーや、壁紙などのインテリア製品、洋服の生地などとして仕立て直し、その製品をグローバル展開することで成功を収めています」(沼上副学長)

 グローバルトップブランドになるためには、人材の確保や新技術の開発、海外情報の入手など、企業が解決しなければならない課題は多数あるが、成功するためにはまず「グローバル志向」であることが重要になる。有望なマーケットの一つであるアジア圏は、欧米企業よりも地理的に近いため、日本企業にとって有利な条件がそろっている。

 「日本で成功してから海外へ進出というステップでは、先行企業に後れを取ってしまいます。グローバル進出を目指す企業は、初めからグローバルなマーケットを視野に入れて製品開発することが極めて重要です」と沼上副学長は話す。


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