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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

市民税減税案の可決で名古屋の庶民革命は結実したか
河村市長に見え隠れする国政への執念と残された課題

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第40回】 2011年12月27日
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ついに市民税減税条例案が可決
河村市長の執念は国政復帰への意欲か

 まさかこれでオワリではないだろう――。そう思いながらも、一抹の不安を抱く市民が少なくないはずだ。名古屋市の河村たかし市長が唱える「庶民革命」の行く末についてである。

 目玉公約の恒久減税を年末ギリギリに実現させた河村市長が、「国政復帰を目指すのでは」との憶測が広がっている。なにしろ古巣の民主党政権の惨状がある。

 政権交代を果たしたものの、統治能力の欠如を露呈し、トップをコロコロすげ替える醜態をさらしている。マニフェストはズタズタに破られ、まるで紙くずのようにポイ捨てされてしまった。

 そのあげくの増税路線である。国政の機能不全が深刻化し、解散風も日に日に強まっている。市長就任後、国政への再転身に含みを持たせていた河村市長が、全国初の市民税減税と公約実現という金看板を引っ提げ、再び「総理を狙う男」になるのではないかと囁かれている。

 名古屋市の臨時市議会は、12月22日、市長提案の市民税5%減税条例案を一部修正し、可決した。これにより、来年度から個人と法人の市民税がともに5%減税されることになった。

 恒久減税は、全国の自治体で初めてのことだ。2年8ヵ月に及んだ市民税10%減税をめぐる市長と議会の対立に、ひとまず終止符が打たれることになった。

 減税条例案は、11月議会で10%減税の原案と7%減税の修正案が、ともに財源不足を理由に否決された。このため、来年度からの恒久減税の実施を悲願とする河村市長が大幅に譲歩し、5%に切り下げた案を臨時議会に改めて提出した。

 減税幅を縮小すれば、来年度の収支見通し上での不足を避けられ、議会側の賛同を得られると判断したのである。タイムリミットぎりぎりでの市長の歩み寄りが奏功したと言える。執念の結実である。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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