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シンガポールを拠点に世界を飛び回っている孫泰蔵氏。それも創造性を発揮できる環境をデザインする目的があってのことだという Photo by Aiko Suzuki

 僕は、社会の課題を解決する「イノベーター」の絶対数を増やしたいと思っています。本気で取り組んでいる人は、世界全体で見ても一握りしかいません。それが少し増えるだけでも、社会のイノベーションが加速すると思います。

 そのためにはまず、従来型の「教育」を変えなければなりません。誰かが何かを教える「ティーチング」一辺倒の手法から脱却する必要があります。

 これまで申し上げた通り、VIVITA(ヴィヴィータ)には先生もおらず教科書もなく、子供たちの作りたいものを作れる体制を整えてきました。大人たちはあくまで支援者。その結果、思いもしなかった成果につながっています。

 驚かされるのが、子供たちの質問力の高さです。子供たちは、大人がたじたじとなるほどのレベルの高い質問を投げ掛けてくるのです。それも当然で、子供たちには自分が作りたいものがあって、その製作にまっしぐらに向かえる環境がある。だから壁にぶつかったとしても、大人に具体的な質問ができて、解決の糸口がつかめるのです。

 このように、イノベーションを起こすには、「教育」よりもクリエーティビティー(創造性)を発揮できるような環境をデザインすることが重要だと考えています。

 では、環境をデザインするとはどういうことなのでしょうか。

 結論から言えば、人的資源と物的資源を与えた上で、「現場と本場」をひたすら行き来するような環境を用意すること。それがイノベーターを生むのです。