システム科学の「HIT法」を使って、すでに多くの企業がホワイトカラーの業務革新を実現している。本田技研工業(以下、ホンダ)グループで、自動車部品や自動車完成品を製造する八千代工業もその一つ。同社では2009年末よりHIT活動をスタートさせ、管理部門における工数の20~30%削減を成し遂げた。今回から2回に分けて、その取り組みについて紹介したい。まずは業務改革推進室の斎藤勝美室長に、どのようにしてHIT活動を進めたのかを伺った。
10数億円の工数削減効果を期待
斎藤勝美
八千代工業
業務改革推進室
室長
八千代工業
業務改革推進室
室長
八千代工業でHIT法導入の検討が開始されたのは2009年のこと。斎藤勝美氏がリーダーを務める企業体質改革プロジェクトで試験的に導入していたHIT法について、経営陣が興味を示したのが発端だ。そこで、ホンダ元副社長で現在は可視経営協会の理事長を務める西田通弘氏の紹介により、システム科学の石橋社長と八千代工業の加藤社長が対面。加藤社長はHIT法の効果を確信し、その場で導入を決意する。
加藤社長の意向を受けた斎藤氏は、活動の内容や予算についての提案書の作成を任された。当時のことを斎藤氏はこう振り返る。
「国内すべての事業所の管理間接部門の人員、約600名を対象にHIT法を導入する計画で試算すると、ツール代や研修費でそれなりの費用がかかることが分かりました。おそるおそる社長に見せたところ、“やれ”と一言。間接部門の業務工数を約30%削減できることが予測され、10数億円の削減効果につながるので、十分に回収できるという判断だったのだと思います」