「スマートテレビ」と呼ばれるテレビの進化型が、次のヒット家電製品として本格的に飛び立ちそうな気配である。

 スマートテレビというのは、通常のテレビ放送に加えて、インターネットへの接続を備え、ネット情報、ネットコンテンツを配信し、またこれまでのテレビには考えられなかったようなソフトウェアを備えたもの。単純に言い切ってしまえば、テレビとある種のコンピュータを合体させたような機器だ。

 10年以上前から、「スマートホーム」という構想のもと、テレビ画面がその中心となって縦横無尽にオンデマンドでコンテンツを受信し、音楽をプレイし、家族写真をみんなで楽しみ、電話もかけて、家の照明を調整したり、セキュリティーコントロールの中心になったりするといったことが叫ばれてきたのだが、これまでヒットした製品はひとつとして出なかった。ところが、ここへ来て、いきなりの盛り上がり方だ。

 たとえば、現在ラスベガスで開催されているCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)では、スマートテレビとタブレットコンピュータが話題を二分している。盛り上がりの背景には、高速ネットに接続している家庭が増えたこと、映画や音楽などのデジタルコンテンツが大幅に増えたこと、ストリーミングなどネットで動画を見る習慣が広まったことなどがあるだろう。

 スマートテレビを掲げてCESに乗り込んだのは、サムソンやLG電子などの韓国勢が中心。オンデマンドで多様なコンテンツが引き出せるのはもとより、音声認識やジェスチャー認識の技術を搭載して、声や手振りでテレビ操作を可能にするという、未来的かつ楽しいインターフェイスを前面に押し出して、話題をさらっている。

 これらは、従来の家電メーカーからの攻めだが、インターネットサービス、あるいはテクノロジー企業側からのテレビ分野への攻勢も、これに劣らず激しい。アップルとグーグルは共にテレビ画面に接続可能なシステムを開発しており、昨年からジワジワとユーザーを伸ばしている。