M&Aした事業をグループの力で大きく育て上げる
東京通信グループという社名は知らなくても、通勤途中や休憩時間にスマートフォンの無料ゲームを楽しんでいるビジネスパーソンなら、同社が開発・運営するゲームを一度や二度は体験しているはずだ。繰り返し遊んでいるヘビーユーザーも多いだろう。
これまでの連載でも紹介してきたように、東京通信グループが提供する無料ゲームアプリのタイトル数は6000を超え、ダウンロード数は3年連続で国内トップを誇る(※1)。そのため「ゲームの会社」としての顔はよく知られているが、他にもデジタルに関わる多彩な事業を展開。中でも、ここ数年大きく成長しているのが「電話占い」と「恋愛相談」だ。
「運営するグループ会社のティファレトは、2021年にM&Aを実施して連結子会社化しました。同社は以前から『電話占い』を行っていましたが、当グループが無料ゲームのプロモーションで培ってきたマーケテイングのノウハウを掛け合わせることで、M&A後の成長を加速させることができました。これが、グループ全体の “成長の方程式”として確立されつつあります」
そう語るのは、東京通信グループの古屋佑樹代表取締役社長CEOである。
ティファレトを子会社化した後、東京通信グループは「電話占い」に加えて、「恋愛相談」サービスもスタートさせた。
「電話占い」は、ユーザーと占い師をオンラインでマッチングし、プライバシーが守られた状態で電話相談ができるサービスだ。人に知られたくないことが気軽に相談できるこの仕組みは、占い以外のサービスにも展開できるはず。そう考えた東京通信グループは「恋愛相談」にもサービスの幅を広げ、これによって子会社化したティファレトの売り上げは大きく増加。親会社である東京通信グループの収益にも貢献した。
まさに、古屋CEOが言う“成長の方程式”が実を結んだ形だ。
東京通信グループの売上高構成では、無料ゲームをはじめとする「メディア事業」が全体の約6割だが、「電話占い」「恋愛相談」などの「プラットフォーム事業」は約3割と、第2の事業の柱に成長した。
「もともと、創業当初からゲーム事業一本で会社を大きくしていくつもりはありませんでした。新しい事業を次々と立ち上げ、非連続な成長を実現していきたいというのが当グループの基本的な考え方です。デジタル関連の有望な事業を展開している会社を積極的にM&Aし、グループの力で育て上げることで、世界を代表するデジタルビジネス・コングロマリットになるのがわれわれの大きな目標です」と古屋CEOは語る。