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上久保誠人のクリティカル・アナリティクス

消費税増税のカギを握る“公明党=選挙制度改革”が
再び官僚・業界・学会が支配する「政治の死」をもたらす

上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]
【第27回】 2012年1月18日
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 野田佳彦首相は、内閣改造を断行した。あまり目玉のない人事だが、興味深いのは岡田克也氏の副総理・一体改革担当相起用か。岡田氏は民主党幹事長時に、党執行部の持つ強力な権限を行使して、小沢一郎氏の「党員資格停止処分」を決定し、度重なる党内の反乱を凌いできた(第16回を参照のこと)。野田首相が、この岡田氏の経験を買って、消費税増税への党内の反発を抑えることを狙うなら、この人事はおもしろいのかもしれない。

 今回は、「消費税政局」の裏側で、静かに重要課題となってきた「選挙制度改革」を考える。野田内閣が「ねじれ国会」を乗り越えて「消費税増税」を国会通過させるには、公明党の協力を得られるかがカギだ。

 公明党は、「小選挙区比例代表並立制」下で党勢が衰え続けており(第2回を参照のこと)、中小政党により有利な「小選挙区比例代表連用制」の導入、または「中選挙区制」の復活を強く望んでいる。公明党は次の総選挙を新しい選挙制度で戦いたい。その一方で、来年予定される「統一地方選」「参院選」と「総選挙」を同時に行うことは避けたい。だから、「今年中に選挙制度改革を実現して、総選挙を戦う」ことは、公明党の生き残りにとって最重要のテーマなのだ。

 公明党は自民党と違い、増税に単純に反対し倒閣一直線で突き進むわけにはいかない。「選挙制度改革」を野田内閣への交渉カードとして持ちながら、したたかに振る舞う必要がある。要するに、野田内閣が「選挙制度改革」をどう扱うかは、消費税政局を大きく左右する可能性がある。

「小選挙区制・二大政党制」批判を考える

 「選挙制度改革」が重要課題として次第に浮上する中、公明党や自民党のベテラン議員を中心に、「小選挙区制・二大政党制」批判が高まっている。

 その代表的なものは、少数意見を排除する傾向が強い「小選挙区制・二大政党制」が、社会に多様な価値観が存在し複雑化している時代に逆行している、というものだ。また、政治家個人の資質よりも「政党VS政党」の構図が強調されることで、政党が世論調査に振り回されてポピュリズムに堕してしまうという批判もある。

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上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]

1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。博士論文タイトルはBureaucratic Behaviour and Policy Change: Reforming the Role of Japan’s Ministry of Finance。

 


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国際関係、国内政治で起きているさまざまな出来事を、通説に捉われず批判的思考を持ち、人間の合理的行動や、その背景の歴史、文化、構造、慣習などさまざまな枠組を使い分析する。

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