日本にとって、世界第2位の経済大国となった中国の重要性は高まる一方だ。しかし日中間には、尖閣諸島などを巡る複雑な政治問題も横たわっている。そんな中国では、今年新たなリーダーが決まる。指導者の交代によって、日中関係にはどんな変化が生じるのだろうか。絆が深まるのか、それとも緊張感が高まるのか――。中国の政治情勢に詳しい東洋学園大学人文学部の朱建栄教授に、中国の新たな指導者たちが目指す国家戦略と、日本がとるべき対中政策について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也)
2012年に決まる大国の新リーダー
指導者選びの「2つのルール」とは?
――2012年、中国では新たなリーダーが決まる。そもそも中国のリーダーは、どうやって決められているのか。
2012年は、世界的な政治の季節。米国、ロシア、フランス、韓国、台湾、そして中国で指導者が交代する。特に中国は、10年に1度の指導者交代となる。
今、中国共産党と国家の指導者選びに関しては、政権内で2つのルールができている。
1つは「年齢制限」だ。おおむね68歳を超えると最高指導部(党中央政治局常務委員会)には入れない。そこに入れなければ、当然指導者にもなれない。
2つ目は「三選禁止」。指導部では、「党や政府の役職は1期5年、長くて2期10年まで」という取り決めが、ほぼ確立されている。胡錦濤氏は02年に主席となり、今年10月で任期満了を迎えるため、続投はもうない。
これらのルールに従って、今回はおそらく建国以来初めてとなる大幅な指導部の入れ替えが行なわれるだろう。それは、党中央政治局の9名の常務委員のうち、7名の年齢が今年で68歳を超えるからだ。胡錦濤氏を含めて7名が交代となり、残る2名の中から新しいリーダーが決まることになる。
――ニューリーダーとして確実視されている候補者は誰か。
新しい指導者となるのは、国家副主席の習近平氏だ。メディアでも言われているように、習氏がポスト胡錦濤として党や国家のトップに就くことは、ほぼ既定路線だ。