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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

日本は「貯蓄の偏り」、欧州は「貯蓄の不足」
日欧財政問題の根本的な違い
――森田京平・バークレイズ・キャピタル証券 チーフエコノミスト

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
【第54回】 2012年2月15日
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内閣府が示した2つの財政シナリオ:
財政再建目標の実現性は低い

 内閣府は1月24日『経済財政の中期的試算』を発表した(図表1参照)。同試算では、

・成長戦略シナリオ…2011~2020年度の平均成長率は名目3%程度、実質2%程度
CPI変化率は2012年度にプラス、中長期的には2%近傍
・慎重シナリオ…2011~2020年度の平均成長率は名目1.5%程度、実質1%強
CPI変化率は2012年度にプラス、中長期的には1%近傍

 の2つのシナリオに基づく今後の財政状況が示されている。

 また、いずれのシナリオについても

・消費税率…2014年4月に8%へ、2015年10月に10%へ引き上げ
・復興対策…復旧・復興対策の実施、復興特別税の創設、復興債の発行

 が前提とされている。

 ここでの「成長戦略シナリオ」はかなり楽観的だ。しかし、その場合でも国と地方を合わせた公債残高のGDP比は2010年度の170%から2020年代前半に向けて180~190%のレンジ内に何とか収まるに過ぎない。より実現性の高い「慎重シナリオ」では同比率は2017年度に200%、2023年度には220%を超える。民主党は「国と地方の公債残高のGDP比を2021年度以降に安定的に低下させる」という財政再建目標を掲げている。今回の内閣府の試算は、消費税率を10%に引き上げたとしても、その目標の実現可能性が低いことを示すものといえる。

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森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト]

しまもと・こうじ/1990年、東京大学卒業、日本興業銀行入社。調査部門で金利分析や経済予測を担当。2000年からBNPパリバ証券で投資調査本部長兼チーフストラテジストとして金融市場予測を担う。日本経済新聞社の債券アナリスト・エコノミスト人気調査の債券部門では06、08年に1位。金融庁の金融市場戦略チームや金融税制研究会、行政刷新会議の事業仕分けなどに参加。

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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