北朝鮮は南北会談で本当に変わったのか?元駐韓大使が分析北朝鮮の金正恩委員長と会談する、韓国特使の鄭義溶氏 Photo:The Blue House/AFP/AFLO

中国の特使とも会わなかった
金正恩が韓国の特使と会談

 3月5日から6日にかけて、韓国の文在寅大統領の特使として、鄭義溶・大統領府国家安保室長、徐薫・国家情報院長ら5人が北朝鮮を訪問し、金正恩・朝鮮労働党委員長と会談した後、夕食をともにした。

 金正恩委員長が外国の要人と会談するのは、2016年7月のキューバ代表団以来。中国の習近平国家主席の特使、宋濤氏ですら面談していない中で実現した今回の会談は、北朝鮮の置かれた厳しい状況を反映するものである。

 筆者は、これまで一貫して、金正恩委員長は自らの意思で核ミサイルを放棄しないだろうと述べてきた。今回の特使派遣で、北朝鮮に非核化に向けた交渉の意思があることが判明すれば、筆者の分析が誤りだったということになる。しかし、これが北朝鮮の新たな「融和姿勢」に結びつくものであれば、歓迎すべきだろう。

 北朝鮮を訪問した鄭義溶国家安保室長は、文在寅大統領に会談結果を報告した後、記者会見をして次の通り述べた。