がん医療の三大療法である手術、放射線、薬のいずれにも大きな変化が起きている。ロボット支援手術で健康保険適用のがん種が一挙に増えた。放射線治療の一種、粒子線治療で前立腺がんの保険適用が認められた。薬物治療では2014年に発売された免疫治療薬「オプジーボ」の適応対象がどんどん広がり、価格がどんどん下がっている。『週刊ダイヤモンド』3月17日号の第1特集「大衆化する高額・最先端手術 がん医療の表と裏」では激変するがん医療の内情を明らかにしており、そのオンライン編集版を複数回にわたってお届けする。今回のテーマは「免疫治療薬」だ。(「週刊ダイヤモンド」編集部)

「この薬がもし効いたら丸坊主になるよと言った先生(医師)がいた。臨床試験が始まったらとてもよく効いた。びっくりしながら、坊主にはならんけど協力しようと言われた」

 小野薬品工業の相良暁社長は2014年に日本で最初に製造販売の承認を受けた免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」が医療界の常識を覆した様を振り返り、苦笑いした(16年末の本誌インタビュー)。

 医師の間では当時、がん免疫療法への不信感が大きかった。がんの三大療法(手術、薬物療法、放射線治療)に次ぐ、第4の治療法といわれることもあったが、「効く効く」と何十年もいわれ続け、結局、科学的根拠が乏しいものばかりだった。

 オプジーボも最初はその類いだろうと思われていた。しかし違った。いざ患者に投与してみると、驚くほどの効果を示した。

 悪性黒色腫を皮切りに15年には肺がん(非小細胞、以下同)、16年には腎細胞がんとホジキンリンパ腫、17年には頭頸部がん、そして胃がんと次々に有効性を証明して承認を取得していったのである。

 そもそもがんの免疫療法とはどんなものなのか。