社会人に求められる読書のアウトプット

 私の速読教室で『蜘蛛の糸・杜子春』を読んでいるのですが、「杜子春」は杜子春という人が、有り余るお金を手に入れることより家族が大事だということに気づいたというストーリーになっています。

 これに対して「自分も家族を大切にしないと」とか「お金がすべてではないんだな」といったことを書き出すのが読書感想文的なアウトプットになります。

 このストーリーに対して、「自分が普段している仕事に置き換えたとき、仲間をないがしろにしてお金だけに執着しているところがないか?」ということを振り返り、そうしたポイントが見つかったら「どうやって改善するか?」を書き出すのが社会人に求められる読書のアウトプットになります。

 小学校や中学校でやってきた読書感想文とは違うアウトプット、点を取るためではないアウトプットが求められるのです。

 もちろんストーリーに沿った模範的な感想文を書くことも、語彙力を養ったり、文章を正しく理解するためには重要な過程です。

 しかし、ある程度の語彙力や文章理解力がついてきたら、今度は読んだ内容を自分に置き換え、自分をさらに成長させるための行動シミュレーションを描き、実際に行動するイメージをつくるようにしましょう。

 行動イメージがより鮮明に描けるようになるほど、アクションを起こそうとするときの不安感が減り、好奇心が増すので、行動力を上げることにつながります。

 行動力が上がれば、よりよい環境の変化や、新しい経験を積むことにつながりますので、「本×環境×経験=理解力」のレベルが上がることになるのです。

■参考文献
「速く読んで覚えられる最強の読書術」